速記は
もともと、録音などない時代に
人が話す言葉を文字にして
記録するために生まれたものです。
日本で一番古い速記は落語や浪曲を取ったもので
「速記本」という言葉も今も落語に出てきます。
速記といっても
私がやってきた速記は
手書き速記ではなく
裁判所は機械速記
速記専用タイプで人の話すスピードとほぼ同時に打っていきます。
録音技術が進歩して
速記官も保険に録音を取るようになっていきます。
(庁によっては一切取らないところもあるようですけど)
写真は 自分のセッションの振り返り用に使っているICレコーダー
ちょっとごついけど、性能いいです。
法廷でのやり取りは
一言一句 漏らさず残すのが基本です。
でも、専門性が高い内容がほとんどで
事前に隅から隅まで記録を読んでも
何の言葉が出るか
出たとこ勝負だったり
話し方も 人それぞれ。
事前にできる限り記録を読んで準備することも欠かせません。
事件の概要と争点の把握
固有名詞抜き出して表記を確認しておく
人名などの読みが不明なときは予想もして
事件ごとの単語登録辞書を作って
打ち方も決めておく。
ex
森さん →もっさん
森君→もっく
森ちゃん→もっちゃ
森淑子さん→もっさんもっさんの2回打ち
図面を見せて話を聞くことが予想されるとき 交通事故、建築、刑事事件の目撃者とか・・・
図面をコピーして速記の机の周りに置いて
おきます。
家系や相関関係がややこしいときは
戸籍から自分たちで家系図や相関図も作ります。
(これらは飽くまでも速記官の事件メモです。)
私は仙台出身なので
関西に来たばかりの頃は関西弁ちんぷんかんぷん。
最初の頃は、職場での雑談も聞き取れず困ってました。
保険の意味で録音をとりますが
速記の符号、打ち方は標準語で基本作られており
訛りは打鍵率が上がります。
ex
なさる→片手
おっしゃる →片手
おっしゃった→ 両手で一打ち
しはった →二打ち
言わはった→二打ち
しよらへん→三打ち
しはらへん→三打ち
そして関西の人は 法廷でも
タメ口だったり
改まった話し方を滅多にしないから
慣れるまで 余計に大変でした。
そうそう
カタカナ語や数字も
打鍵率
打つ回数増えるので、なかなか大変です。
速記は
同音異義語関係なく、
とにかく発音どおりに速記していくので
300を
サンビャク と読んでも
サンマルマル と読んでも
文字にしたら一緒でも
打ち方違うんです。
ちなみにサンビャクは一打ち
サンマルマルは三打ち
コミュニケーションなんて基本に忠実に打つと三打ちになるので、
今は共通の新しい略語を作ってます。
記録に出てこない固有名詞
数字 カタカナ語は苦労します。
話し言葉で自然な言い回しも
文字にするととても読みにくいんです。
そこで反訳基準をもとにして
話し手の意味が変わらないように
修正もしていきます。
ちなみに国会の速記士は全く修正しません。
言い間違いもそのまんま。
助詞を直すことも全くない。
裁判所と違い調査部や校正部があるので
分からない言葉が出てきたら調査部
立ち会った人が反訳した後には校正部
そして国会は立会いも10分交替ですから、基本分業ですね。
裁判所は40分から1時間ほどで交替です。
裁判所では
基本的に立ち会った人で作成して
一緒に立ち会った人同士で読み返しをして
極力誤字脱字に記録との整合性
「(1)」が「(一)」になってないかとか、
とにかく細かい(-｡-;
私が裁判所退職して、もう丸2年です。
早いな～。
速記官で数多くの尋問を見聞きしてきた経験と
コーチングやカウンセリング
本格的に活かしていくのは正にこれからです。
唐突ですが、クライアントさん募集中です。
特に速記だった頃の経験から