おでぶなミーちゃん | 大池田劇場(小説のブログです)

おでぶなミーちゃん

  おでぶなミーちゃん





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「なに?この動物・・・。」
居間に寝そべっている動物を見て姪が驚きの声を

上げた。
 「何って?あたしのペットのミーちゃんよ。」
叔母は笑ってそう答えた
 「なんでこんなに太っているのよ。」
居間に寝そべっているペットは肉のかたまりにしか見

えない。
 体を動かすのもしんどいのか横になって動かないよ

うだ。
 「うふふ、避妊手術をしたら子供に戻ってしまうらしい

のね。食べ物ばかりに関心がいって・・・。」
叔母さんは可愛くて仕方ないような口調である。
 「でもおばさん、こんなに太らせたら・・・。」
 「そうね、健康に悪いわね。でも太っている方が可愛

いから・・・。」
叔母さんは小さなペットのお腹を撫でた。
 柔らかくて気持ちがいいようだ。
「この子達は私達に比べてずっと寿命が短いのよ。

好きにさせてあげましょう。」
姪は呆れた顔をした。
 「運動する気も痩せる気もないのね。」
食べて寝る生活をずっと続けているようである。
 「外へは出さないし・・・、捕まったり、帰ってこなかっ

たら悲しいでしょう。」
外へ出すより家の中で飼った方がずっと長生きが出

来るのだ。
 「本当は子供を産ませてペットなりの幸せを与えたか

ったのだけれど・・・。」
叔母さんはすこし残念そうだった。
 「駄目よ、増えすぎたら困るわ。捨てたりしたら今はう

るさい時代だし・・・。」
 姪の近所では公園とかで増えすぎて問題になってい

るらしい。
 「手のかからない子達なんだけどね。」
 叔母は残念そうであった。
 避妊したことに少し気が咎めているようである。
「おまえ太りすぎだよ。いくら恋人が居ないからって

・・・。」
 姪が右手でミーの頭を軽く叩く。
ミーは半目を開けて寝ぼけていたのか、姪の腕を軽

く前足ではらった。
「あっ、痛い。」
鋭い爪で引っかかれて姪が悲鳴をあげる。
 「知らない人が手を出すと引っ掻くのよ。」
 叔母さんはニコニコ笑っていた。
 目の中に入れても痛くない程の可愛がりようである。
 ミーが起き出したので、叔母さんはソファから立ち上

がると、キッチンの棚から何かを取り出した。
 「さあ、ミーちゃん。おやつをあげるわよ。」
袋を開けると、まどろんでいたミーちゃんはしっかりと

目を見開いた。
「おまえ、寝てたんじゃなかったの?」
 姪の声を無視してミーちゃんはすごい勢いで叔母さん

の目の前に座る。
 お菓子をおねだりしているようだった。
 「叔母さん、それが駄目なんだって・・・。この子早死に

するわよ。」
姪は足の先でミーのお腹を突いたが、知らん顔をして

いる。
 食べ物にしか関心がないようである。
 「もうミーちゃんもおばさんなんだから、良いわよね。」
婦人はそうつぶやくと、器にお菓子を山盛りに盛って

あげていた。
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 「ふー、駄目よ、駄目。食べたら太るわ。」
 ミーちゃんは自分に言い聞かせた。
 「ああっ、でも駄目。我慢出来ない。」
婦人が取り出したお菓子を口一杯に頬張った。
 「どうしてこの星の食べ物はこんなに美味しいの。」
むしゃむしゃとむさぼり食ってしまう。
 「こんなに太ってしまっては地球へは戻れないわ・・・

。」
ミーちゃんは自分のお腹を見て嘆いた。
 「ああっ、でも我慢出来ない。」
 一度口にしたら止めることのないおいしさなのだ。
 結局、今日もお腹一杯食べてしまった。

 今、カエル人の間では、日本人女性のペットが依然と

して大人気のようである。




次回、いよいよ最終話です(。・ω・)ノ゙。


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(実は一つの話を完結して他の話へ行くという手法

をとっておらず、いくつかのシリーズを並行して書い

ていますので、目次をご覧になった方がわかりやす

いかと思います。きまぐれで他のシリーズへ飛びま

す。)


増刊号の「山池田」です。

現在、なぞの物質・「福田樹脂」載せています
よろしくお願いしますね(。・ω・)ノ゙

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(山池田は登山日記と、自分では今一つと思っている

話を載せています。掲載は不定期です。)