日本の酒場をゆく

日本の酒場をゆく

旅酒や 無頼な心の よりどころ

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アラカルトで愉しめる北新地の割烹料理屋ew_icon_a401_20260406173616745.gif
適当な店で昼飯だ。
JR東西線北新地駅から歩くこと約四分、堂島上通【堂島裏町線】沿いの雑居ビル一階にある割烹料理屋の店先に本日のランチメニューが出ている。
これは良さそうな店だな。
割烹料理屋(和み酒 仁)の暖簾をくぐった。
昼はランチ、夜はアラカルトとコース料理で営んでいる一軒。
木を基調とした店内は落ち着いた和の空間。
ランチは週替わりランチ、ねぎあな天丼、焼き魚御膳、天然黒鮪しらす丼、仁弁当の五種にランチコースはミニと花がある。
焼き魚御膳は金華鯖塩焼き、金華鯖塩焼き「大」、新潟村上の塩引き鮭、銀だら西京焼きの四種から選ぶ。
思案の挙句、焼き魚御膳の金華鯖塩焼きにした。
まずはビールで喉を潤す。
しばらくして焼き魚御膳が焼き上がった。
焼き魚御膳は金華鯖塩焼き、小鉢箱はカツオ刺身・釜揚げしらすおろし・ほうれん草のお浸し、生野菜サラダ、漬物、ご飯、味噌汁が登場。
カツオ刺身は透明な香りがあり、生臭みは全くなく身もびんとしまって実にうまい。
金華鯖塩焼きにおろし醤油をのせて口に運んだ。
焼け焦げた味をしみじみかみしめる。
金華鯖が口の中でほっこりと崩れて、これもやめられない。
これで一三〇〇円はお得用だ。
メモメニューはランチ。
注意生野菜サラダ200円
釜揚げしらす300円
金華鯖塩焼き1300円
お造り三種盛り1500円
角ハイボール700円
生ビール「アサヒ熟選」800円
「営業時間11:30~14:00・17:30~23:00/日・祝休」

 

 

 

 

 

予約客で賑わう中華酒場の実力店ew_icon_a401_20260419102508a7e.gif
北口に一大酒場エリアの広がる中野だが、南口にも酒場はある。
JR中央線中野駅南口から歩くこと約二分。
駅南口から中野通りを渡り、路地を入った先、朱色の壁に屋号が書かれた古い店構えが、隠れ家的酒場を予感させる(蔡菜食堂)。
店内はテーブル席が並ぶこぢんまりとした空間。
連日予約客で占められるほどだから、店の人気は悪くない。
テーブル席に腰をおろした。
まずはビールをングングング……。
ああうまい。
メニューは「スペアリブの黒酢ソース炒め」「イカとセロリの炒め」「トマト卵炒め」「マコモ竹と豚肉炒め」「レバーパテ」など、飲兵衛のツボを見事に捉えた料理がズラリと並んでいる。
「さあ何にする」とにっこりする店のお婆さんは最も頼りになるタイプだ。
「ねぎワンタン」を注文して数多い品書きを眺めた。
「豚肉とレタスの炒飯」「ごま醤油和えメン」は良さそうだな。
「地鶏と老酒蒸し」とは何だろう。
隣のテーブルの老夫婦は「麻婆豆腐」と「海老と豆腐のうま煮」を分け合ってうまそうだ。
選んだ「ナンプラーとアンチョビの焼きそば」はたくさん入る青菜のしゃきしゃき火加減がとてもよい。
ねぎワンタンはつるんとした食感と餡のうまみがクセになる。
中華は一品おいしければ皆おいしい。
しばらくここに通おうと外に出た。
注意青菜炒め900円
麻婆豆腐1000円
ナンプラーとアンチョビの焼きそば1000円
海老と豆腐のうま煮1200円
白ワイン グラス750円
キリンラガー「中瓶」750円
「営業時間17:00~22:00/水・日休」

 

 

 

 

 

高円寺の老舗寿司屋の魅力ew_icon_a401_20260607185928486.gif
JR高円寺駅から歩くこと約五分、エトアール通り沿いに古い風情をもつ寿司屋(いろは鮨)がある。
古い店を見つけると入ってみたい。
「いらっしゃい」
戸をあけると老練な白衣の大将が笑顔で迎えてくれた。
カウンターに腰をおろし、まずはビール。
ングングング……。
カウンターのガラスケースにはぴかぴかの寿司ダネが詰まる。
子供が好むサーモンがないのがいい。
サーモンを好む客、サーモンを揃える寿司屋は三流だ。
選んだ「ちらし」の寿司ダネはマグロ、カンパチ、ホタテ、サヨリ、シメサバ、タコ、アナゴ、スミイカ。
最近の寿司屋はびくびく淡すぎる酢加減の酢めしが多いが、ここのシャリは風味豊かな酸味が生むキリッとした味わい。
厳選された旬の寿司ダネ。
磨き抜かれた職人の技。
寿司に対する情熱。
おいしい寿司をつくることをたどっていくと、手間のかかる仕事になる。
それを世間では‹こだわり›という。
当たり前を積み重ねて‹おいしい›になる。
注意かっぱ巻き 1本400円
並寿司1870円
並ちらし1870円
特上寿司3300円
焼酎「1杯」600円
ビール800円
「営業時間12:00~14:00・17:00~21:00/火・水休」

 

 

 

 

肝料理と日本酒のマリアージュが愉しめる立ち飲み酒場ew_icon_a401_202604061015101be.gif
Osaka Metro堺筋線扇町駅3番出口から歩くこと約3分、天神橋筋と与力町鮨筋の交差点角に立ち飲み居酒屋(日本酒 ポニーテール)がある。
「いらっしゃい」
にこやかに迎える女性二人はどちらもポニーテールだ。
白を基調とした清潔な店内は調理場を囲む立ち飲みカウンターのみ。
まずは赤霧島のオンザロック。
紫芋「紫優【ムラサキマサリ】」を使用した宮崎の本格芋焼酎。
フルーティーで後を引くようなあまみと気高い香りが特徴だ。
名物は「松坂牛レバー串」。
この日は皿で供された。
松坂牛のレバーは黒蜜の照りを放つ。
たった今動物から切り取ったばかりと映る牛のレバーである。
レバーは口に含むとぷるんと弾み、噛めば溶けて喉の奥へと滑り込む。
軽く浸したゴマ油塩の味がさぁーと後を引く。
なんとも、艶かしくも悪魔的な食肉への誘惑である。
ライオンや猛禽類の生存を賭けた荒々しい肉食行為の中にも、実のところこんな快楽的要因が潜んでいるのではないだろうか。
日本酒は「ゆきの美人」「雪の茅舎」「みむろ杉」「豊盃」「酒屋八兵衛」など、定評銘柄、気鋭の名酒が揃う。
松坂牛レバーを味わうだけでも、来る甲斐がある。
メモ値段表示は外税。
注意松坂牛レバー串330円
鯛薄造り480円
鶏肝の煮込み580円
松坂牛タタキ780円
中々「麦」680円
赤霧島「芋」710円
「営業時間11:00~15:00・16:00~23:30【土・日・祝】10:00~15:00・16:00~23:30/不定休」

『立ち飲み店』

 

 

 

 

 

世情け横丁のマニアックなショットバーew_icon_a52_20260406091257f17.gif
Osaka Metro堺筋線日本橋駅から徒歩約五分。
千日前の飲み屋街を歩くと、裏坂町通に「世情け横丁」という小さな路地が現れる。
かの「のんべえ横丁」を思わせるちょっとディープな小径のトバ口にショットバー(バール・デ・坂町)がある。
「いらっしゃいませ」
バーテンダーに迎えられカウンターに腰をおろした。
店内はカウンターのみ。
五坪ばかりの仮設のようなミニミニ店だ。
「何にしましょう」
「ブッシュミルズのハイボールを」
「かしこまりました」
バーテンダーはブッシュミルズのブラックブッシュのボトルに手を伸ばした。
ブッシュミルズをタンブラーに入れ、冷やしてあるソーダ水を入れ出来上がりまでおよそ二〇秒。
軽やかに気泡を立ちのぼらせるブッシュミルズのハイボールはフルーティーな旨味を持つ。
棚にはボトルとグラスが整然と並び色鮮やかなグレープフルーツが山盛りになっている。
その中央に糊のピシッときいた黒のバーテンダーコートのバーテンダーが立つ。
ディープな横丁の小さなバーだから芸術家くずれかなんかが、くわえタバコでカクテルの真似でもしてるんだろうと思っていたが大違いだった。
まぎれもない本格バーである。
良いバーのボトルはきまってぴかぴかに光っているがここもそうだ。
メモメニューはない。
チャージあり。
「営業時間18:00~翌2:00/不定休」

 

 

 

 

 

曽根崎新地の飲み屋街でうまい魚を味わうなら迷わずここへew_icon_a401_202604061015101be.gif
JR東西線北新地駅から歩くこと約五分、永楽町通【控訴院裏通線】沿いの雑居ビル一階に居酒屋(びんびや)がある。
店名の「びんび」は主人の出身地徳島では魚のこと。
この店は魚の店。
カウンターに腰をおろし、まずは宮崎の麦焼酎「中々」のオンザロック。
中々はクセが少なく、それでいて麦のしっかりとした旨みがある。
手書きコピー半紙の品書きは「ポテトサラダ」「岩もずく酢」「竹の子フライ」「ねぎぬた和え」「牛肉コロッケ」など居酒屋の模範となるような品が並ぶが、店名の通り名物は「造り盛り合わせ」。
主人は魚の目利きには確かな経験と才能を持つ料理人だ。
この店に初めて訪れたなら、まずは「造り盛り合わせ」から。
この日の「造り盛り合わせ【小】」はカツオ、明石のマダイ、シマアジ、アオリイカが登場。
一押しである明石のマダイをいただくと、ピンと立った切り身が美しく、コリコリの食感がずーっと残っている。
分厚いカツオは切り口が鋭角に立ち、色は見るからに若々しく光る。
アオリイカは甘くねっとりと舌にはりついてうまいのなんの。
鮮度抜群のシマアジは一目でモノが違う、鮮度が違うと分かる。
酒も全国の銘酒がずらりだ。
この店、アタリだなとはやくも一人ごちた。
この店は素材も、調理も、しつらえも、断然質が高い。
料理への研究熱心、酒への関心、主人の心意気が心に響く北新地の人気店。
注意ポテトサラダ650円
花わさびお浸し700円
明石 たこ造り1300円
造り盛り合わせ「小」2000円
中々「麦」700円
生ビール サッポロエビス750円
「営業時間17:00~23:00/日・祝・隔週土休」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高崎最古参の老舗居酒屋の魅力ew_icon_a401_20260528121321824.gif

JR高崎駅から徒歩約二四分、柳通りから入った路地裏に往年の料理屋の風格をもつ大きな木造平屋が垣根に囲まれて忽然と建つ。
道に置いた行灯看板が垣根をほの明るく照らす。
相当古そうだ。
古い居酒屋を見つけると入ってみたい。
(前田屋)の暖簾をくぐった。
店に一歩足を踏み入れれば、そこには時計の針を巻き戻したかのような昭和の香り漂うレトロな空間が広がっている。
改装せず古いままに続けてきた店独特の、すすけていながらどこか凛とした潔癖さがみなぎる風格あるインテリア。
創業は昭和九年頃。
カウンターに腰をおろし、まずはハイボール。
ングングング……。
肴は鮪赤身、こしあぶら天婦羅、鮎塩焼など渋いものばかりだが、おすすめは鯵なめろうだ。
なめろうは全国の居酒屋で最近時々目にするようになったが、問題は叩き加減で、粗くてはもの足りなく、糊のようになってはやり過ぎだ。
ここのは粘りはあるが身の粒はしっかり感じる。
一息つき店内を見渡した。
すすけた店内は新築にないくつろぎをもたらす。
こればかりはいくら金をかけても、有名建築家でもつくるわけにはいかないのである。
このカウンターに座ると、居酒屋は多くの客が飲み続けた歴史に自分も加わるところという感慨がわく。
注意白海老 素揚600円
〆さば700円
鯵 なめろう700円
鮪 赤身1000円
純米 東北泉500円
麦 兼八700円
「営業時間17:30~21:00/日・月休」

 

 

 

 

予約三年待ちの居酒屋で酒を飲むew_icon_a401_2026040513094392b.gif
ホテルに帰る道すがら、スマホを見ると着信があった。
数週間前キャンセル待ちをした居酒屋からだ。
電話すると席が空いたのでどうですかと。
連絡がくるとは思わず忘れていたのだ。
腹はとうにいっぱい、酒も効いてきたが、満腹したからもう帰るというものではない。
次々に店を品定めしながら、夜の町をあてどなく徘徊すること自体が面白い。
JR三ノ宮駅から歩くこと約5分、神戸市道生田北70号線沿いの雑居ビル2階に焼き鳥居酒屋(アヒル)がある。
東門街裏は隣の東門街にくらべて落ち着いた雰囲気が漂う。
「いらっしゃい」
女将に迎えられカウンターに腰をおろした。
まずはビール。
ビールは注ぎ方で味が決まる。
ングングング……。
喉を一気に滑りおりる爽快感。
お通しのじゃがいもの冷製スープがおいしい。
何気なく注文した朝引き播州赤鶏・淡路鶏の「きも刺し」は表面がプリッと弾けるような食感。
歯を立てると舌の温度で蕩け、濃厚なコクとほのかな脂が口の中に徐々に広まるのが分かる。
サービスでハツ刺し【心臓】が添えられた。
女将によると客は帰る時に次回を「永遠に」予約していくため現在予約は三年待ちだそうだ。
メモコストパフォーマンスは優良。
注意徳島 肉厚しいたけ200円
スパイシーポテトフライ440円
人気 ささみ温玉ユッケ720円
焼きトマトとモッツアレラのカプレーゼ800円
麦・いいちこ 下町のナポレオン540円
中瓶ラガー赤星680円
「営業時間18:00~翌0:00/日休」

 

 

 

 

 

 

 

創業七〇年を超える老舗焼肉店ew_icon_a401_20260412130621527.gif
JR中央線中野駅南口から歩くこと約八分、大久保通り沿いにある焼肉屋(焼肉 板門店)に入った。
店内は肉の脂が炭火で焦げる香ばしい匂いが充満している。
「いらっしゃいませ」
高齢の女将に迎えられテーブル席に腰をおろした。
平日の午後五時半過ぎ、開店間もないというのに客席は半分以上埋まっている。
それも地元客ではなく、わざわざ遠方から足を運んでくる予約客が大半だという。
住宅街の一角という、飲食店として決して恵まれているとはいえない立地にもかかわらず、この人気。
今宵ありつける焼肉に期待は膨らむばかりだ。
この店を楽しむ上で知っておくべきルールがある。
肉【焼き物】は一回限りの注文。
肉は切り置きはせずに注文を受けてから一枚一枚切るこだわり。
さらに味や食感を損なうスジなどを取り除く。
そのため追加注文があると長い時間を費やすからだそうだ。
調理場では高齢の主人が肉を切り分けながら味付けしている。
この面倒とも思える行程こそが、焼肉の鮮度と味を支えるポイントなのだ。
ここでは注文した肉やホルモンは生のまま差し出され、目の前に用意された七輪を使ってセルフで焼く。
まずはビールと叫んでおいて品書きを見た。
レバー、ハツ、ミノ、タン、カルビ、ロース、骨付カルビ、豚足……等々。
届いたロースは、鮮やかな色艶がその鮮度を物語る。
メモコストパフォーマンスは優良。
注意キムチ500円
豚足650円
ロース1100円
カルビ1100円
ウーロン・ハイ500円
サッポロラガービール600円
「営業時間17:00~21:00/水・木休【不定休あり】」

 

 

 

 

地元の食通が集う甲府の寿司屋ew_icon_a401_20260601214301990.gif
JR中央東線甲府駅から歩くこと約一三分、かすがもーる沿いに寿司屋(寿し處 さくら)がある。
「らっしゃい」
白衣の老練な主人に迎えられカウンターに腰をおろした。
カウンターのガラスケースにぴかぴかの寿司種が詰まる。
まずはビール。
ビールは、注ぎ方で味わいが決まる。
できるだけ細い一筋の流れをつくり、瓶を少しずつ持ち上げていく。
グラスを傾けてトクトクトクと白い泡がむくむくと立ち上がり、グラスの縁を越えてあふれ出した瞬間に、そっと手を止める。
あとはングングング……と喉をうるおし、そしてひと息、プハー。
メニューはない。
カウンターのガラスケースがメニュー代わりだ。
ミル貝【ナミガイ】の刺身を注文。
日本各地の浅い砂泥地に生息し、驚くほど深く砂にもぐる性質をもつ貝。
流通名は「白ミル」。
オオノガイの仲間の中では、唯一全国的に出回る。
古くから食用にされてきたが、本ミルと呼ばれるミルクイが獲れにくくなったことで、その代わりとして広く使われるようになり、知られるようになった。
ミルクイより味が落ちると言われるが、それは明らかに間違い。
実にうまい貝である。
〆は鉄火巻で腹を満たした。
メモメニューはない。
「営業時間18:00~翌1:00/日休」