日本の酒場をゆく

日本の酒場をゆく

旅酒や 無頼な心の よりどころ

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★さすらう町の酒場の灯り、居酒屋行脚の、珍道中★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

地元客で夜な夜な賑わう地域密着の居酒屋ew_icon_a401_20251103162105102.gif
ホテルに帰る道すがら、ふらふらしながら、長野の居酒屋歩きも、もう終りと思うと無性にもう一軒入りたくなった。
長野電鉄長野線権堂駅から歩くこと約五分、今は寂れたかつての歓楽街、西鶴賀商店街沿いに居酒屋(暮六つ)は佇む。
(暮六つ)のある、西鶴賀商店街はレトロな看板や昔ながらの長屋が軒を連ねる。
どっぷりと夜になり、ぽつりぽつり灯る電飾看板がおりからの小糠雨で濡れた通りに映り、風は寒く鼻水は流れ、いかにも山国のわびしい酒場通りだ。
どこでもいいや、と戸をあけた。
まずはビールで喉を潤す。
明日は東京に帰る。
肴にこだわる気持ちはもうない。
ゆっくりとビールを飲んだ。
何かもう少し腹におさめておきたい。
「おつまみ何にしましょう」
白衣の主人が声をかけた。
「鮭のお茶漬ね」
情ない注文だ。
これじゃ失礼だなと「手巻おにぎり3本」、とつけ加えた。
「手巻おにぎり」は明日の朝食だ。
盛大に湯気の上る大ぶりのご飯茶碗は、焼き鮭に熱々のダシ汁をたっぷりかけ、三つ葉と海苔を山盛りにした鮭茶漬だ。
よく焼けた香ばしい焼き鮭を汁の中でくずして食べるおいしさ。
ダシがよくきいている。
小骨一本まできれいにしゃぶり尽してご飯茶碗はカラになった。
届いた「手巻おにぎり」を一本食べ、残りをテイクアウトして店を出た。
注意ししゃも 大3本500円
自家製コロッケ550円
酢ダコ650円
本まぐろ中トロ刺1300円
サワー ライム ジョッキ500円
生ビール 中ジョッキ750円
「営業時間17:00~翌0:00/日休」

 

 

 

風趣溢れる地元客が集う居酒屋ew_icon_a401_20250911093858a96.gif
京急本線県立大学駅から歩くこと約四分、安浦下浦線沿いに居酒屋(魚長)がある。
開店時間を過ぎると地元の常連客がポツリ、ポツリと集まり始め、みな自分の定席があるようだ。
「オレはここでいい」とカウンター端の末席を選ぶ人がいじらしい。
近所らしき二人連れのおばさん客が、今は年寄りの世話がたいへんとうなずき合ってビールを飲んでいる。
中年の男一人客は、まだ早い時間に焼酎水割り。
こちらはハイボールを一杯。
飲み屋の喧騒はなく、家で料理させて飲む気兼ねもなく、いちばん良い居場所なのかもしれない。
料理は「まぐろぶつ切り」「たこぶつ切り」「炙り〆さば」「天ぷら盛合せ」「ミックスフライ」など、居酒屋の定番が揃う。
選んだ「刺身盛合せ 三点盛」はマグロ、マダイ、イカが登場。
刺身をつまみながらぼんやりとなった。
あらためて店内を見渡す。
一人客は主人と話したり、二人組は笑い合ったり。
この空間とここで過ごす時間が好きだから、みんなここに集まってくるのだろう。
居酒屋とはそういう場所なのだ。
昭和の一時を想い起させる地元客が集う居酒屋だった。
注意たこぶつ切り650円
まぐろぶつ切り750円
ミックスフライ1100円
刺身盛合せ 三点盛1200円
ハイボール550円
ハイネケンエクストラコールド650円
「営業時間16:00~23:00/月休」

 

 

 

地域密着型の創作料理の居酒屋ew_icon_a401_20251103162105102.gif
長野電鉄長野線権堂駅から歩くこと約5分、長野市道長野西163号線から入った飲み屋街の外れの雑居ビル1階に創作料理の居酒屋(カンパイ酒場 ShinShin)「カンパイ酒場 シンシン」がある。
客はなく、中年の遊び人風主人が一人カウンターに立つ。
軽やかに気泡を立ちのぼらせるハイボールは最後のひと口まで安定している。
主人は権堂の飲み屋街を盛り上げたいその思いから令和3年に独立を決断したそうだ。
BGMに1990年代のJ-POPが流れる。
「ヒャー」外に女の息せき切った声がしてドタドタと入ってきた。
男にでも追われているのかと一瞬身構えたが女二人だけだ。
「マスター【ハァハァ】走ってきたわよー、早く飲みたくてぇ」
細身の黒い服は四十代か。
酔っ払っている風でもなく、のぞき見ると髪をきりっと後ろに束ねた中年女性。
もう一人は少し若く黒縁眼鏡をかけている。
「わったしはね、このマスターのファンなのよ」
主人はテレ笑いしながらも「まいったな、やめなよ」とは言わない。
料理は「オニスラさば缶サラダ」「バリバリポテトさらだ」「馬の生レバー」「カツオの塩タタキポン酢がけ」「かにクリームコロッケ」などの創作料理が揃う。
品書きに「炙り〆サバ」がある。
旬の脂が乗ったサバをバーナーで炙った「炙り〆サバ」は〆サバ独特の酸っぱさや臭みはなく、香ばしくておいしい。
主人とは同世代で話が弾み、昔話になった。
取り立てて目を奪われるような料理は見あたらないが、とても感じのいい店だった。
注意かにクリームコロッケ 1個290円
ポテトフライ680円
青森 炙り〆サバ780円
天然ぶり刺し980円
スタンダード ハイボール500円
キリン晴れ風 中ビン600円
「営業時間17:00~23:00/日・月休」

 

 

 

 

知る人ぞ知る八王子の鉄板焼ew_icon_a401_202507162101476a6.gif
JR中央線八王子駅北口から徒歩約八分。
中町界隈を歩けば、今も路地裏に黒塀が残り、かつての花街の雰囲気が見てとれる。
鉄板焼酒場(月の島)はそんな一角に佇む。
店内は半個室のみ。
何となく鉄板を間に客と冗談でも言い合いながらなごやかにと予想したが、焼き方のおばさんは無駄口はおろか真剣な目付きで鉄板に集中し、思いつきで「あ、○○も入れてね」などと声かけられない厳しく緊張した空気だ。
明太子入りとかキムチ入りとかあるがわからないので「何かスタンダードなのを」と焼き方に一任すると、わかりましたとうなずき「素もんじゃ」を焼き始めた。
まず溶いた具と粉を鉄板に混ぜ合わせソースを少しかけクレープ状にうすくのばして出来上がり。
では早速一口。
うまいのかまずいのか判らない。
そのうち飽きてきた。
うーん、正直もんじゃ焼きは苦手である。
メモ値段表示は外税。
注意明太しそチーズパリパリ400円
大根としらすのサラダ580円
スタミナ豚キムチ焼き680円
明太子チーズ1180円
グレープフルーツサワー450円
ハイボール ブラックニッカ450円
「営業時間17:00~23:00【日・祝】17:00~22:00/不定休」

 

 

 

 

 

 

権堂周辺で格安で飲むなら迷わずここへew_icon_a401_20251103162105102.gif
長野電鉄長野線権堂駅から歩くこと約4分、長野市道上千歳権堂線沿いに居酒屋(SAKABA ゆでたん屋 ごっくん。)「サカバ ゆでたん屋 ごっくん。」がある。
カウンターを中心にテーブル席と個室もある大箱居酒屋。
目の前に用意されたガスロースターやダクトの輝きが酒飲みを誘う。
ここでは注文した肉は生のまま差し出され、目の前に用意されたガスロースターを使ってセルフで焼く。
料理は「鮮魚のお刺身」「カルビ」「トマトと大根のサラダ」「地鶏のからあげ」「すき焼き」など豊富なラインアップ。
この店に初めて訪れたなら、まずは名物の「お得にちょい飲み♪ごっくん。セット ドリンク1杯、先付、お料理3品付き」からだ。
まずは芋焼酎「赤霧島」のお湯割り。
全国の居酒屋を回り、それまでは鹿児島でしか飲まれていなかった芋焼酎が、福岡に、大阪に、やがて2002年頃には東京に。
そして仙台、盛岡とひたひたと北上し、今や全国の居酒屋に進出した。
野暮な安酒の代名詞だった焼酎がこれだけ広まると誰が予測したであろうか。
「赤霧島」のお湯割りは奥深いコクがあり、気持ちをほっとさせる。
この日の「ごっくん。セット」は4種のお通し、ポタージュ、ピーマンとトマトの煮込み、肉みそピーマン、おでんが登場。
これで1500円は超お得用だ。
これほど価値ある「ちょい飲みセット」はない。
これでもう、料理は何もいらないんじゃないだろうか。
まずはこちらを注文して飲むのが“常連”流の過ごし方。
ぜひ試してほしい。
注意軟骨のわさび焼き600円
トマトとベーコンのチーズ焼き700円
明太子の出し巻き玉子800円
いぶりがっこピザ900円
生グレープフルーツサワー550円
赤霧島 グラス600円
「営業時間18:00~23:00/日・祝休」

 

 

 

 

昭和の雰囲気を留める居酒屋ew_icon_a401_202507121420509ff.gif
JR中央線八王子駅から徒歩約八分。
多摩地域で唯一の花街が賑わいを見せた中町界隈は今も路地裏に黒塀が残り、当時の面影が見てとれる。
居酒屋(金太郎 中町店)はそんな界隈の一角にひっそりと店を構える。
看板には「中町店」とあるが、以前紹介した八王子市内に数店舗展開する「株式会社 金太郎」グループとは別経営。
玄関をあけると奥にいた年配夫婦が立ち上がり迎えてくれた。
黒板の品書きは少なく、肉巻、目板照り焼き、野菜さつま揚げ、なすみそ、シュウマイ、アジフライ、ハムカツ、メンチカツ、コロッケがこの店の全メニュー。
ごくシンプルな商売のようだ。
まずはビールで喉を潤す。
他に客はなく、ビールと一緒に出されたお通しのちくわきゅうりをつまみながら一杯やっていると、すでに昔なじみの店にいるような寛ぎを覚える。
選んだ「なすみそ」は家庭的な味。
決して気の利いた酒肴が揃うわけではないが、酒を安心して飲める雰囲気がある。
メモメニューに値段表示なし。
飲み物メニューなし。
注意コロッケ
なすみそ
シュウマイ
メンチカツ
目板照り焼き
野菜さつま揚げ
「営業時間18 00~22 00/土・日休」

 

 

 

 

お忍びに使いたい西中洲の大箱居酒屋ew_icon_a401_202511050708278a9.gif
福岡市地下鉄七隈線天神南駅から歩くこと約3分、西中洲大通り沿いに居酒屋(あまの)がある。
店内は和風の落ち着いた空間。
カウンターを中心に座敷と2階もあり、80名を超えるキャパシティの大箱。
まずは鹿児島の芋焼酎「明るい農村」のオンザロック。
明るい農村の平易で素朴な飲み口は気持ちをほっとさせる。
村娘の純情だ。
なにかなごやかになる。
お通しは根曲がり竹の煮物。
根曲がり竹の煮物は簡単そうに見えて、素材の良否、味付けに気配りを要する。
こういうものに手を抜かない店は他の品も良い。
品書きに「すもつ」がある。
博多を訪れる際、初めて入った酒場であれば無条件で酒のつまみに選ぶのが「すもつ」だ。
この料理は飲兵衛の舌を裏切らない。
どこの酒場で注文しようとも安定した味で供される。
届いた「すもつ」は見るからに鮮度のよいモツが、口の中でシャクシャクと踊り、ポン酢との絶妙な相性は明るい農村にぴったり。
野菜もとらなくちゃと「野菜サラダ」を。
旬の野菜がうれしい、健康志向の野菜サラダは彩り鮮やか。
大地の恵みをいただきます!
「ホントにうまいね。九州の野菜ってすごい」と感心した。
注意トマトスライス550円
博多がめ煮800円
塩鯨1600円
あなご白焼2000円
富乃宝山650円
明るい農村650円
「営業時間17:00~22:30/日・祝休」

 

 

 

昼過ぎから鮮魚をつまみながら酒が飲める居酒屋ew_icon_a400_202508140938537f7.gif
JR中央線吉祥寺駅北口から歩くこと三~四分、武蔵通り沿いに居酒屋(鮮魚とイカと大衆割烹 ととまろ)がある。
店は地下。
玄関にある下駄箱は鍵札つきで、銭湯で使っていたもののようだ。
履き物を脱いでカウンターに腰をおろした。
日本酒の揃えよく、定評銘柄、気鋭の名酒が揃う。
思案の挙句、長野の地酒「黒澤 生酛 特別純米」にした。
生酛造り【きもとづくり】とは、「酒母を仕込んだ後、山卸し(酛摺り)を行う製法」のこと。
きりりとした中の濃醇旨口で、ここ数年日本酒ファンに絶賛されている長野の地酒だ。
品書に「ハモの湯引き 梅肉ポン酢」がある。
丸っこくて長い「長もの」魚は、脂肪がつよく、精がつく。
分類「ウナギ目」には、ウナギ、アナゴ、ウツボ、ハモなどが属する。
鱧は性格どう猛、何でも食べる雑食。
その味は、鰻より雅で穴子よりは精が強く、ひと風呂浴びた中年増の色気、酒の肴にぴったりだ。
旬の味を堪能できる刺身はもちろん、焼き物や揚げ物、珍味などが豊富に揃う。
旨い肴に加えて全国の銘酒も揃う。
週末は昼過ぎから飲める、万人向けの居酒屋だ。
注意揚げ茄子ポン酢480円
里いもの唐揚げ580円
モンゴウイカ900円
ハモの湯引き 梅肉ポン酢950円
デュワーズハイボール580円
長野 黒澤 生酛 特別純米 グラス900円
「営業時間11:30~15:00・17:00~23:30【土・日・祝】14:00~23:30/不定休」

 

 

 

 

 

 

 

食都の隠れ酒場の実力店ew_icon_a401_20251111191539c16.gif
福岡市地下鉄七隈線天神南駅6番出口から歩くこと約三分、春吉二番丁のアパートに赤提灯が、飲兵衛を手招きするように風情たっぷりに揺らめいている。
「まさか、こんなところに酒場が?」と、半信半疑で通路を入れば、アパートの一室からポツンと灯がともる。
(炉ばた 三光橋)は、通りがかりの人がフラリと入れる気軽な雰囲気は一切感じられない。
中を覗けば、調理場を囲むカウンターのみ。
料理は炉端焼きが中心。
ここでは注文した肉や野菜は生のまま差し出され、目の前に用意された角形の七輪を使って店員が焼く。
お通しは枝豆。
店員が気軽に話しかけてくれる。
「おいしく食べるには枝豆を焼くんですよ。ほら」
確かに雑味がとれ甘味が増しておいしい。
「今日はゴマカンパチ、絶対です」店員が自信をもってすすめる。
新鮮が命で、漁がないと魚は無く、常連ですぐなくなるという。
これは食べなきゃ。
この日おすすめの「ごまかんぱち」を注文。
合点ですとばかりに半身をとり出し、透明な薄皮をぴりぴりと剥いだカンパチを胡麻ダレにからめ胡麻を振ったゴマカンパチは胡麻の香りがふくらみたまらなくうまい。
サバをカンパチにかえたゴマカンパチはゴマサバより高級上等になり贅沢気分が高まる。
名物の「地鶏のたたき」は強い甘みと弾むような弾力があり、噛めばかむほど肉汁があふれ出る、昔ながらの地鶏のうまさ。
口の中でぷりぷりと弾け、炭火の香ばしい香りがほのかに押し寄せる。
一見なら思わず入店を躊躇してしまうような、怪しげなオーラを放つ酒場。
しかし、こういった一歩を踏み出すハードルが高い飲み屋にこそ「アタリ」が多いことも、酒場通なら当然知っていることだろう。
注意自家製ちくわ500円
鶏ハラミ650円
鶏きもちょい焼き650円
地鶏のたたき800円
天狗桜600円
富乃宝山800円
「営業時間17:00~翌0:00/不定休」

 

 

 

 

 

安くてうまい吉祥寺の大箱の焼肉屋ew_icon_a401_2025070610342786c.gif
JR中央線吉祥寺駅北口から歩くこと約四分、西一条通り沿いの雑居ビル二階に(焼肉みゆき苑)がある。
店内には調理場を囲むカウンター席を中心にテーブル席と座敷があり、焼肉屋としては大きめ。
一〇〇名を超えるキャパシティの大箱ながら、チェーン店では真似できない味はまさにこの店の真骨頂といえるだろう。
この店には地元客もいれば、都外からの客も数多く集まってくる。
その人気の原動力となっているのは、厳選A5和牛と釜炊きご飯だ。
カウンターに腰をおろし、まずはビール。
ビールはサッポロの赤星と、通好みのラインアップ。
焼肉との取り合わせも申し分ない。
ここでは注文した肉は生のまま差し出され、目の前に用意されたガスロースターを使ってセルフで焼く。
ジイジイと音を立てて焼かれる「タン」はコリコリとした食感が秀逸だ。
〆は「ビビンバ」で腹を満たした。
メモ値段表示は外税。
注意ファミリーカルビ「こちらは輸入牛です」498円
ゲタカルビ798円
石焼チーズビビンバ998円
厚切りハラミ1398円
デュワーズ ハイボール398円
生搾りグレープフルーツサワー598円
「営業時間16:00~22:30/無休」