『アフター・ザ・レイン』 | シネフィル女子の日常

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2007年、アメリカ。チェン・シージェン監督。



あらすじ↓



アメリカで物理学を専攻している中国人の奨学生リゥ・シン(リウ・イェ)は、将来が期待されている勤勉な学生。






しかし、その実直さと優秀さ故に、次第に教授の反感を買ってしまい、将来を閉ざされてしまう。




 

大学の後援者であるジョアンナ(メリル・ストリープ)の励ましも耳に入らず、絶望の中にいる彼は、遂に恐ろしい事件を引き起こしてしまう……。



キラキラキラキラ銃キラキラキラキラ



1991年に起きた、中国人留学生によるアイオワ大学銃乱射事件を基にして、主人公の中国人青年が精神的に追い詰められ、凄惨な事件を引き起こし自殺するまでを鮮烈に描いた作品。   



テーマが良いだけに、不出来な点が目立つ。



まず、中国人留学生たちから見たアメリカ人に対する非難の言葉が、そこかしこに見受けられる点である。






監督が中国人というのも妙に納得がいく。排他的な目線でアメリカ人を描くことにより、中華思想的なものが際立ち、作品全体に浅薄な印象を与えてしまっている。



次に、演出に手抜かりがある点。



こればっかりは予算の問題もあるのだろうが、追い詰められていく主人公の幻想の描写等が、見るからに安っぽい。






低予算でも、上質で出来の良い映画は沢山ある。本作の場合、映像や音楽など、全てにおいて根本的なセンスに欠けている。



最後に、ラストが仰々しい点。



主人公が銃乱射事件を起こす時、丁度、メリル・ストリープ扮する大学の後援者の女性が太極拳をしており、彼女が突如、嫌な予感に苛まれ、主人公の自宅へと走る。



この超能力めいた場面は、いささか大袈裟であり、観ていて興ざめである。



どうせなら、事件が起こっている事を何も知らずに、メリル・ストリープが優雅に太極拳をしている静かな場面と、銃乱射の荒々しい場面とを交互に映し出し、緩急をつけて斬新さを見せて欲しかった。非常に残念なラストである。



以上が不出来な点だが、探せばまだ出てきそうな作品である。



しかし、ストーリー自体は決して悪くない。むしろ良い。だからこそ、余計に惜しい。






アメリカに固執し過ぎた主人公の悲劇を描いているが、彼の純粋で愚直なキャラクター設定は揺らぎなく、しっかりしているし、そんな主人公のみならず、登場人物全員の性質がよく映し出されている点は評価できる。
     


大学で夢を絶たれた主人公だが、中国に戻り、研究を続けることも出来たはずである。



また、落ち込んでいく彼を励まし、支える友人達や、彼に助言する優しい後援者女性の存在もあった。

  

しかし、主人公の耳に、そうした彼らの声は届かなかった。そう考えると、何ともやるせない気分になってしまうが、これが若さ故の残酷さであろう。



生真面目で志の高い主人公だからこそ、こういった悲惨な事件を起こしてしまった、という流れは、どことなくリアリティを感じさせる。



何とも悲しいストーリーだが、若者特有の儚さや残忍さを徹底的に描いており、その辺りは素晴らしい。

 




そして、メリル・ストリープを含む役者陣の安定した演技は、やはり見応えがある。



残念な点は多々あるが、内容の奥深さは確かに感じられる情緒的な作品である。






どのパッケージを見てみても、何か妙にダサいんですよねww←そこかい



テーマはいいんですよねー、色んな意味で惜しい映画でした。・゜゜(ノД`)



メリル・ストリープみたいな大物女優が、こんなのに出ちゃっていいのか?と思ってしまいましたし……(´-ω-`)



実際の事件を基にしていますが、結構、脚色されてる部分も多い様です。






原題である『Dark Matter』というのは、主人公が研究していた「暗黒物質」の事らしくて……(また何かおかしな邦題付けたわな……)。



銃乱射事件のシーン自体は、そんなに悪くなかったんですよね。



ただ、主人公の動向に気付く超能力めいたメリル・ストリープの(正確には、中国にいる主人公の母親も、同じ様に悪い予感に駆られる)シーン……、ほんま要らんかったなぁ……(。´Д⊂)



急に走り出したりなんかしないで、静かに太極拳、続けてたら良かったのに……ww



で、主人公、万事上手くいってます、みたいな嘘の内容の手紙を、両親宛に書いてるんですが……



その時の彼の暗い表情といったら……観ていて、すごく悲しい気持ちになりました涙
 


一人で抱え込まずに、もっとグチグチ言ってたら良かったのに……主人公、周囲にあまり弱みを見せないんですよね……。






そんな鬱憤が積もりに積もった結果、起こしてしまった彼の行動は、残酷過ぎるものでした。



自分がアメリカで成功する事に拘っていたんでしょうが……



そういう思い込みとか、こうじゃないといけないっていう固定観念って、客観的に見たらほんま怖いなぁ……と。



銃を持って大学に侵入した主人公が、自分を潰した教授とかライバルの生徒とか、何人か殺すんです。



で、殺害後、帰る時に偶然、自分が殺したライバルの生徒の奥さんと子供に会うんですよ。



その時、何も知らない奥さんに、「うちの主人、まだかしら?」みたいに聞かれるんですが……



主人公は無言で立ち去って、奥さんと子供は殺さないんですよね。
  


彼らに罪は無くて、関係ないからなんでしょうが……



ここに、主人公の人間性みたいなものが表れてる気がして、ちょっと切ない様な気持ちになりました。



知名度も低ければおそらく評価も低そうな、駄作と言えば駄作なんでしょうけど……



個人的には嫌いじゃないです、この映画。