本当に良かった | 無い物ねだりの身の程知らず

無い物ねだりの身の程知らず

人が見れば決して不幸でも恵まれていない訳でもないのに、ありのままの自分を受け入れられていない私がいます。
子供の頃からずっとコンプレックスと生き辛さを抱えていた私の半生と現状を綴り、これからの自分の人生を前向きに生きられるヒントを得られたらと思っています。

一人息子のMが所属している硬式テニス部の夏合宿の練習を、Mに内緒で見に行った私達は、Mに見つからない様に注意しながら、Mが練習しているテニスコートを遠巻きに見る事にしました。


Mの高校の硬式テニス部は、女性の先生が何十年も顧問をしていて、夏合宿には毎年、歴代のOBが自費で合宿の運営を手伝いに来てくれているそうで、テニスコートの中や回りには人がごったがえしていました。


なので、私達はMが練習しているコートを、Mに見つからない様に探すのは一苦労でした。


私達は帽子を被り日傘をさして、さっき見たMが着ていたオレンジ色の練習着を目印に、Mが練習しているコートをようやく見つけました。


だけど、コートの外にも、Mの高校の硬式テニス部の関係者が沢山いて、Mの両親である私達の事を知っている人がいる恐れがありました。


なので、Mが練習しているコートに近づき過ぎるのも危険と判断した私達は、何とかテニスコートが見える位置から、Mが練習している様子を見る事にしました。


Mは硬式テニス部の部長ですが、夏合宿は歴代のOBが練習にも参加しているので、Mもイチ部員として他の部員と一緒に練習をしていました。


カンカン照りの日差しの中、カラカラの土のコートの上で、真っ黒に日焼けしたMが、歴代のOBの指導の元、仲間と一緒に楽しそうに練習をしていました。


M達三年生は夏合宿の後、8月の大会が全て終わったら、部を引退します。


Mは小学校四年生の途中から硬式テニスを始めたのですが、同学年で一緒に練習をする仲間が、ずっといませんでした。


だけど、高校に入って、初めて学校の部活で硬式テニスをする事ができ、同学年の仲間が沢山できました。


そして、顧問の先生や先輩、後輩にも恵まれ、部長という大役を任される様になりました。


そんなMの高校最後の夏合宿を見れて、私は本当に良かったと思いました…