本腰 | 無い物ねだりの身の程知らず

無い物ねだりの身の程知らず

人が見れば決して不幸でも恵まれていない訳でもないのに、ありのままの自分を受け入れられていない私がいます。
子供の頃からずっとコンプレックスと生き辛さを抱えていた私の半生と現状を綴り、これからの自分の人生を前向きに生きられるヒントを得られたらと思っています。

私が老舗の仕出し料理店に入社してから1ヶ月が過ぎた頃、会社では、年末のお節料理と年始のオードブル料理の、本格的な準備が始まりました。


社長の昔からの知り合いというだけで、会社の経営から事務から、殆ど全ての権限を一任されたHさんは、私達が入社して来た頃から、今年のお節のメニュー作りにも携わっておられました。


そして、1年に4回発行されるメニューチラシと、お節料理とオードブル料理のメニューチラシを印刷する為の写真撮影にも、Hさんが立ち合っておられました。


Hさんが監修された、冬のメニューチラシと、お節料理とオードブル料理のチラシが出来上がって来ました。


出来上がって来たチラシを、新聞広告に入れてもらったり、配送ドライバーが配ったり、私達事務員も、会社の近辺にポストインして来て欲しいとHさんに言われ、交代でチラシを配り歩きました。


Hさんが正月商戦の為に忙しくされていても、社長は相変わらず、社長業の方にばかり精を出したままで、事務所には殆どおられないままでした。


いつまで経っても社長が、会社の実務に携わろうとされないので、とうとうHさんは、本業を辞めて、この会社に就職されました…