私の方も、妊娠している事を、このままずっと内緒にし続ける訳にはいかない…と思ってはいましたが、
「出来れば両親に話す前に、Sさんの離婚が成立してくれないかな?」
と、私の妊娠の報告よりも、Sさんの離婚の成立の報告が先であって欲しいとの思いから、家では両親となるべく、顔を合わせない様にしていました。
妊娠5ヶ月の戌の日を迎える頃になっても、Sさんの離婚の話は進んでいませんでした。
この頃になると、私の下腹が、少しふっくらとしてきました…
「もう、親に隠しておけないな…」
と思い、先ず母に、妊娠している事を話しました。
「実は、妊娠してしまってん…」
「急に仕事辞めたから、何でかな?と思ってたんや…Sさんは未だ離婚してないのに、どうするねん?」
「Sさんは『何とかするから、心配せんで産んで良い。』って、言ってくれたはるから、待つしかないと思ってる…」
「子供が生まれる迄に、離婚出来はったら良いけど…」
「うん…」
「パパには、未だ言わんとき!ママが様子見て、ママからパパに言うといたる。」
「わかった…ありがとう…」
母に報告した後、戌の日にSさんと二人で、安産で有名なお寺に行き、安産の祈祷をしてもらい、腹帯を貰って帰りました。
Sさんのアパートで、少しふっくらとしていたお腹に腹帯を巻いてみると、更に大きなお腹になり、街で見掛ける妊婦さんの様に見えました。
「私のお腹の中で、私とSさんの赤ちゃんが育っているんやな…」
私はお腹の赤ちゃんの存在が、目に見える様になってきた事で、母親としての自覚が、一層強くなってきました。
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