携帯のアプリで速度計というのがあることを知って入手した。
手に入れると無性に使いたくなるわけで、さっそく計測。
まず手始めに、自分の歩く速度を計測したのだが、普通に歩いて時速3キロから5キロの数値が表示される。ハッキリ言って、何の面白みもない数値である。
それならば走ればいいのだが、元々足が速いわけでもないし、携帯の画面を見ながら走るのは危険行為につながりかねないので止めておく。
私の場合、走るより早く移動する手段として車がある。
ということでエンジンスタートと行きたいところだが、ふと我に返る。
車の速度を計測したところで、公道で40~60キロの数値、高速で80~100キロの数値である。
第二東名まで足を延ばしても、120キロの数値までで、それ以上の数値を出した場合、明確な速度違反となり、運が悪ければお上の手を煩わせてしまうことになる。
ゴールド免許の私にとって、言語道断の行為である。
そもそも、車にはスピードメーターがあるので、計測したところで実車と速度計アプリの誤差の有無が判明するだけで、これもまた面白みに欠けてしまう。
車がダメなら次は鉄道の出番である。
幸いに自宅はJRの駅も私鉄の駅も徒歩10分以内の距離にあるので、どちらも容易く乗車することができる。
主に利用するのは私鉄で、以前特急電車に乗車した時、先頭車両で運転席の速度計を見ると、昼間の時間帯で時速100キロ前後の速度で走行していたことを覚えている。
そうなると、JRの在来線も同じような速度であろうし、特急電車の速度もそれよりは高い速度になるとしても、驚くほどの数値は計測されないだろうと考えられる。
そうなると、残るは新幹線である。
今では死語になったかもしれないが、「夢の超特急」の出番である。
うまい具合に帰省の時期と重なったので、計測が可能となった。
乗車するのは「のぞみ321号」で新大阪までの乗車となる。
出発してすぐには最高速度には達しないことは承知しているので、しばらくは車窓の景色をぼんやりと眺めて過ごす。
品川、新横浜と停車し、小田原、熱海、三島を通過した時点で、それまでより速度が上がったことを体感したのでアプリを立ち上げる。
時速は200キロを超えて更に加速しているではないか!
鉄道を扱ったYouTubeで何度も観た光景ではあるが、自分が実際にやってみると実に楽しい。
ぐんぐん伸びてゆく速度計の数値と、車窓から見える富士山と、交互に視線を移し替えながら、興奮を隠せない私は思わずつぶやく。
「面白い!面白過ぎるやないか~い!」
慌てて隣を見ると、イヤホンをして何かを視聴しているので聞かれなくて済んだが、聞かれていたらきっと気まずい雰囲気になったことだろう。
正直なところ、ちょっと無粋(理由は武士の情けで書かないでおく)な野郎、訂正、男性だったので、(私の魂のつぶやきを)聞かせてやっても良かったかもしれない。
私の興奮も最高点に到達。
通勤に帰省に旅行と今まで数多く新幹線に乗車してきたが、こんなに心が高鳴ったのは初めてである。
新幹線に乗って速度計を眺めてここまで興奮できるなんて、何とも安上がりなオッサンで、他人からは、アブナイとかキモイとか見えてしまうだろう……。
しばらくは乗車する度に、速度を計測したいと思っている。
今回乗車した東海道新幹線は新大阪までなので、時速300キロを超えることはないのだが、山陽新幹線になると、時速300キロに達する区間があるという。
更に、東北新幹線では時速320キロに達する区間もあるという。
これは行くしかないだろう。
速度計
数値が示す
鼓動かな