今回の南京のほか、これまで中国へは北京、上海、西安、香港には複数回訪ねているし、天津、広州、蘇州などにも行ったことがある。我ながらよく行ったものだ。その20年間のうち 初期の頃は中国なんぞと思っていたのが、いつの間にか向こうもエラくなって、今は侮れない相手になってきた。
私なりの印象では この20年に中国は ファッションも食事も交通も建物も すっかり変わってしまった。20年前の中国はまだ人民服を見かけ、人々の移動手段はもっぱら自転車だった。上海のオークラに泊まって どこかで洋食を食べようと思っても、街中に洋食レストランはほとんどなかった。そしてやっと見つけたレストランで目にした現地客の振舞いは まだぎこちないものであった。
それが今や どの分野でも日本に劣らず整っている。落ち目の我が身にしたら 隣人がだんだん金持ちになっていくのを目の当たりにするのは心穏やかでない。しかし 成金ということばがあるように、交通機関でも日常でも マナーがまだ追いついていない。マネーは足りてもマナーが足りぬ。モラルアップがこれからの課題だ。
ところで 世間は中国のこの成長をどう見てきたかというと、私の好きな経済評論家のうち、長谷川慶太郎は 中国の体制には無理があるので、近く崩壊すると ずっと言い続けてきたが、まだ崩壊に至らない。邱永漢(故人)は 中国経済は大きく成長するので 早く投資を、と促し続けてきて、実際その通りになった。副島隆彦は この数年来、中国元は安く放置されているが、そのうちに水準訂正で高くなるので 今のうちに買うべしと言ってきた。これも予言どおりに実現した。大きな成長期には リスクも,儲けのネタもいっぱい転がっていたということだ。