津波被災地を行く⑤ ~ 大槌町 | 100回行こう、ヨーロッパ 

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  100 回行こう! と勢いはよくても、実際の訪欧はまだ約40回。欧州その他への
  これまでの 100 回超の海外旅行で 体験したことや、思ったこと ・ 感じたことを
  つれづれに記してみる。  【タイトル背景はプラハ】

大船渡を発って 次は釜石に向かう。釜石市内も建物は残っているが あちこちに空き地が広がる。少し高台にある市役所を訪ね、参院選の不在者投票で出勤している職員に(被災を見るに適当な場所を)聞くと 市の観光センターに行くようにと たらい回しにされる。釜石駅の隣にある観光センターでは 女性職員が親切に対応してくれ、これから宮古に向かうのなら、途中の鵜住居とか大槌町、山田町などが被害の大きかった所で、走り抜けるだけでもよく判るよ と教えてくれる。車でこれらの町をずっと見ていったが、どこも似た景色だ。建物がみな無くなって草地が広がっている。よく見ると建物の区画跡があるから、家が建っていたのが分かる。まさに一網打尽というカンジで 全て持っていかれている。『夏草や兵どもが夢の跡』は芭蕉が ここ岩手の平泉で詠んだ一句だが、いま 目前に同じ景色が広がる。しかし 現代の夢の跡には 重機がたくさん入り込み、沈下した地盤を埋めるための土砂が山と盛られている。


大槌町では壊れた役場庁舎を前に ボランティアガイドが震災当時の逸話を話していた。その一つに遠野市長の行政力を高く評価する話があった。

遠野市は岩手県の内陸に位置する町だが、そこから釜石、大槌、鵜住居、宮古、大船渡へと 5本の道が延びる交通の要衝になっている。沿岸で何かコトあると、どの町もこの道だけが命綱になる。そこで現市長は将来 東北に地震(津波)が発生した際は、隣接市の役割として 孤立するこれら市町の救援に徹しようという防災対策を講じてきたという。それが今回 予見したとおりの事態になり、意図した役割を果たすことができて 被災市町の住民から大いに感謝されているとのこと。末代まで語り継がれる貢献である。


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釜石市唐丹地区では堤防が壊れていた

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津波の襲撃を受けた大槌町役場と役場前の市街跡

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陸中海岸では向こう岸の集落(岸に近い所)がやられているのが見えた