前回お伝えした、メロンとアレルギーのお話。

偶然ではありますが、今日ニュース番組でビワでアレルギーを起こしたニュースをやっていました。

リアルタイム過ぎて、ビックリしました😮

さて、今回は…

体内の水分代謝の異常を調節して、正常な状態へと導く作用がある漢方、五苓散。

むくみ、めまい、下痢、二日酔い、暑気あたり…など様々な症状に効果が期待できる漢方です。

そこで今夜は、そんな五苓散のお話を薬剤師さんから学んでいきましょう。



 
🍀五苓散とは

五苓散がどのような漢方薬なのかをお伝えするために、まずは漢方医学の考え方と五苓散の働きについてみていきましょう。

「漢方医学では、気(き)、血(けつ)、水(すい)がバランス良く体内を巡ることで健康を維持できると考えられています。

・気(き)…体や心を動かすエネルギーのこと

・血(けつ)…血液や血液に含まれる栄養をさします

・水(すい)…リンパ液、汗、涙、だ液など、血液以外の体液をさし、からだ全体にうるおいを運びます

このうち体内で水の巡りが悪くなった状態を、水毒(すいどく)または、水滞(すいたい)と呼び、以下のような症状が現れます。

【水毒(水滞)で起こりうる症状】
むくみ、めまい、頭痛・頭重、めまい、頻尿、手足の冷え、関節痛など

五苓散は『水』の巡りを整える、代表的な漢方薬の一つであり、水毒(水滞)の状態を改善する働きがあります。


🍀五苓散に含まれる生薬とは

五苓散は、以下の5種類の生薬から構成される漢方処方です。

・茯苓(ぶくりょう)…水分代謝を正常に整える作用がある。
・猪苓(ちょれい)…排尿を促し、不要な水分を取り除く作用がある。
・沢瀉(たくしゃ)…利尿作用や、口渇を緩和する作用がある。
・白朮(びゃくじゅつ)または蒼朮(そうじゅつ)…余分な水分を取り除き、また胃腸の働きを高める作用がある。
・桂枝(けいし)…体を穏やかに温めて発汗を促すと共に、余分な熱や痛みを取る発散作用や健胃作用がある。


🍀五苓散の効果

五苓散の服用で改善が期待できる症状・疾患には以下のようなものがあります。


➜むくみ(浮腫)

むくみは、皮膚の下にある皮下組織の部分に余分な水分がたまっている状態です。

体内の水分は、細胞や血管の中を絶えず行き来してバランスを保っていますが、血行不良や過剰な塩分摂取などが引き金となってこのバランスが崩れると、行き場のなくなった水分が細胞の隙間にたまってむくみの原因となります。

五苓散は、『水』の巡りを整えて体内の水分の偏りを調整することでむくみを改善する効果が期待できます。


➜めまい・耳鳴り

めまいや耳鳴りを起こす原因の一つとして、体内の余分な水分が、頭部で脳脊髄液や耳の内リンパ液の循環に影響を及ぼしている可能性があげられます。

このような『水毒(水滞)』によるめまいや耳鳴りに対して、五苓散は効果的です。

急性期の目がぐるぐると回るような回転性めまいに、頓用薬として用いられることも多くあります。


➜低気圧頭痛

低気圧頭痛は、気圧や湿度の変動に伴って起こる頭痛をいいます。

低気圧頭痛が起こる詳しいメカニズムは解明されていませんが、漢方医学では体に余分な湿気(湿邪:しつじゃ)が入り込んで『水』の代謝に異常が生じている状態だととらえて治療を行います。

五苓散は、低気圧頭痛や低気圧に伴って起こる体のさまざまな不調に対して効果が期待できる場合があります。


➜急性胃腸炎 

急性胃腸炎は、細菌やウイルス感染によって胃腸の粘膜に炎症が起きる疾患で、嘔吐や下痢、腹痛などの症状が現れます。

嘔吐を伴う下痢の場合、漢方医学では上部消化管の水毒(水滞)の状態と捉えて五苓散が使用される場合があります。


➜二日酔い

二日酔いとは、お酒を飲みすぎた日の翌日に起こる、吐き気や頭痛、顔のむくみ、下痢などの症状をいいます。

これも、漢方医学の観点からみると『水毒(水滞)』の状態ととらえます。

五苓散は二日酔いの改善だけでなく、飲酒をする前後に服用することで二日酔いを予防する効果も期待できます。


➜暑気あたり

暑気あたりとは、高温多湿の日本の夏で起こりやすい、倦怠感や食欲不振、頭痛、めまいなどの症状が複合的に現れる体調不良をいいます。

私たちの体は、自律神経の働きにより気温の変化に応じて汗をかいて体温を一定に保つ働きがあります。

しかし、高湿度の環境下で汗が十分に蒸発できなかったり、室内外の温度差で自律神経の働きが乱れて発汗をうまくコントロールできなくなったりすると、体に熱がこもって暑気あたりを引き起こしてしまうのです。

五苓散は、体内の水分バランスを整えることで脱水状態を緩和し、暑気あたりの症状を改善する効果が期待できます。


🍀漢方薬五苓散の水分調節メカニズムと、西洋薬『利尿剤』との違い

五苓散は古くから用いられる代表的な利水薬ですが、近年の研究で五苓散が『アクアポリン』と呼ばれる水チャネルに作用して水分調節作用を示す可能性が報告されています。

五苓散に含まれる蒼朮・猪苓が、水を細胞内へと取り込むタンパク質であるアクアポリンの働きを阻害することで、異常な水の移動を抑制し、結果的に体内の水分バランスを正常に整えてくれるのです。

体の状態にかかわらず水分を排出してしまう西洋薬の利尿剤とは異なり、五苓散は余分な水分があるときは利尿作用、脱水状態のときは水分の排出を抑える抗利尿作用を示します。

そのため必ずしも尿量やトイレの回数が増えるわけではないことから、五苓散は脱水や電解質異常の副作用が起こりにくいのが特長です。」と薬剤師さんはいいます。

高温多湿のこの時期に、活躍が増える漢方薬です。

気になる方は、医師や薬剤師にご相談ください🙂