アブレーションの前日大学病院に転院した。治療が終われば元の病院に再転院となる事を確認された。

病棟に入り、そのまま夫と一緒に担当医からアブレーションの説明を受けて同意書にサインした。その後夫は帰宅。

病室で明日の準備の為に腕に点滴の針を入れてもらっているとドクターがエコーの機械を持って来て心臓を診せてくれと言うのでどうぞどうぞと診てもらっていた。


その時ドクターのPHSが鳴った。


 電話の相手は不整脈の専門医。今日は元の病院で勤務中のはず。ドクターが「えっ⁉︎全部指示入れ直しっすよー。」とぼやいているのが聞こえて横にいたナースと顔を見合わせて何事⁇となっていた。 

電話を終えたドクターはおもむろに「ご主人呼び戻せる?無理なら何時頃連絡とれる?」と聞いてきた。

大学病院から自宅までは車で1.5時間かかる。今は運転中なので連絡出来ない。とりあえず家に着いたら連絡をくれるようにメッセを送った。 


 ドクターからはこんな言葉が。「ごめんな。予定変更。明日のアブレーションは中止になった。代わりにペースメーカー入れるから。主治医から言われたことある?」

「はあ、そうですか。CRT ですか?一応匂わされてはいたんで。」私も平然と返事した。

「大正解!D付きな!」ノリはほとんど講師と学生。横にいたナースはドン引きしてた。顔引き攣ってたなー。

そりゃそうだ、治療方針の急な変更なんて普通患者は混乱するだけだ。しかもペースメーカー入れるって事は体内に機械を植え込むわけで抵抗を感じる人も多い。なのに普通に返事している私はある意味とても変な患者と思われても仕方ない。


 実はアブレーションの説明時にドクターがカルテを見て私がナースだと知り、専門を聞かれて循環器だと答えていた。ついでに夫の職業を聞かれて薬剤師で製薬会社勤務だった事も伝えていた。

当然説明は専門用語が使われて講義状態。ナースはそれを知らないからドン引きするのも無理はない。ちょっと可哀想だった。

ドクターが彼女に「この患者さん循環器のベテランナース、君らの大先輩やでー。」とドヤってから「同意書取り直しなんでカルテ入れてくるわ〜。ご主人連絡ついたらもう一度説明するから教えてな。」と颯爽と部屋を出て行った。


 彼女がポツリと「もう少し早く言ってくれたら針一本で良かったのに。」と言った。

アブレーションの時は鎮静剤や他の薬を使う事も多いので点滴の針を2本腕に入れることも良くある。ペースメーカー植え込み時は一本しか入れない。

彼女、2本目入れる時ちょっと手こずってたんだよね。気持ちすごいわかるからなんだか気の毒になってごめんなさいと言ったらめちゃくちゃ恐縮されてしまった。

点滴の針は2本そのまま入れておいてもらった。結局役に立ったけど。


 そうしてる内に時間が過ぎて夫に連絡してみた。丁度自宅に着いた所だった。

治療方針が急遽変更になった事を告げてドクターからの説明を電話越しで聞いて欲しいと言うと了解してくれた。

ナースコールで夫と連絡を取れる事を伝えてもう一度面談室に移動した。

スマホをスピーカーにして今度はCRT-Dについての講義、もとい説明が始まった。


 ここで説明しておくと、一般に知られているペースメーカーは脈拍が遅くなった時に植え込まれる物。

私に植え込まれることになるCRT-Dは重症心不全の非薬物治療の一つで、心臓再同期療法と言って心臓の左右の部屋が本当はニコイチで仕事をしなければならないのに何らかの原因でバラバラに仕事をしているのを矯正してくれる機能と、命に関わる危険な不整脈が出た時に電気ショックをかけて救命してくれる体内版AEDの機能を持っている。


 トレッドミルの検査をした時に主治医にちらっと言われていたのと、自分で調べて心不全治療ガイドラインのCRT-D最優先適応な事はわかっていたので覚悟はしていた。

いつまでたっても楽に動けるようにならない体に嫌気がさしていたのもある。少しでも動けるようになるならなんでもいいとも思っていたので逆に安心した。サクサク話を聞いて同意書にサインして終了。

ちなみに夫はさすがに専門外すぎてネットで調べながら話を聞いていたらしい。ごめんね🙏


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