入院してから一体いつ頃から症状が出ていたのかが焦点になった。
元々10年来の高血圧で職場のドクターに薬を出してもらい飲んでいた。でもある程度経つと効かなくなり、薬を増やさないといけなくなって来た。これが半年から1年位の間隔で数回続いた。
さすがに詳しく検査しようと言う事になり検査を受けた。その結果二次性高血圧の疑いあり(腫瘍などの病気があって血圧が高くなっている疑い)となり大学病院に紹介された。そこで精密検査をうけ、やはり本態性高血圧だと言われて薬を新しい種類に変更してくれた。
これが私には非常に効果がありすぐに正常値まで血圧が下がった。
その後も安定した状態が続いた事、海外移住を予定しておりこの薬が海外では販売されていない事を考慮し、試しに1ヶ月薬を中止してみる事になった。薬をやめてからも血圧は安定、今までが嘘のように逆に低めになっていた。本当は入院の翌日が再診日だった。
この大学病院では5年前に膝の手術でもお世話になっているので心電図やレントゲン、心エコー、採血の結果は全て残っている。主治医はすぐに問い合わせてデータを送ってもらい確認したと言っていた。この時には心臓には全く問題はなかった。
そこで思い出したのが今の職場に就職して健診で2年前から左脚前肢ブロック(心臓の左下の部屋に命令を送る道筋で2本に分かれている。その片方が切れている状態)を指摘されていた事。職場の循環器ドクターに相談したら症状がないなら様子見でいいと言われていた。職場に心電図を送って欲しいとお願いしたが事務処理の関係で2年前までのものしか手に入らなかった。これもやはり問題はなかったので最近になって急激に悪化したのだろうと言う事になった。
・(動悸) 確かに3月頃から時々動悸があった。ただ脈拍が飛ぶ感じのタイプだったので正常でもある不整脈だと気に留めていなか った。今から思えば結構頻回に出ていたと思う。
・(夜間多尿) 夜中に目が覚める事も増えていた。私はいつでもどこでも寝られるのが特技で基本一度寝たら目覚ましが鳴るまで起 きないタイプ。お酒を飲み過ぎた時に夜中にトイレに一度起きるくらいだった。それがトイレに最低2回、時には3~4回 は起きるようになっていた。
・(下腿浮腫) 足のむくみは気にしていなかった。夜勤専門ナースとして働いていたので仕事終わりに足がむくんでいるのは当たり 前だったから。
・(体重増加) 体重は増え気味だったけど急激に増えたわけではなかった。
・(低心拍出に伴う脳血流低下) この頃気になっていたのが物忘れ。患者の名前が咄嗟に思い出せなかったり薬の名前が思い出せ なかったり、買い物して買い忘れる事が増えたりしていて認知症か⁈と不安を覚えていた。今まで気にならなかった事で イライラする事も増えていた。
・(倦怠感、易疲労感) 夜勤明けの時は中途半端に昼寝をするとかえってリズムが狂うので昼寝をしないようにしていたのだけれ ど、気がつけば寝落ちしている事が多くなっていた。生あくびもよく出ていたけれどこの頃仕事が忙しく、同僚の欠勤で 急遽仕事に入ったりもしていたので過労気味なんだろう、来月カンボジアに行くから思い切りのんびりしてリフレッシュ するぞーくらいにしか思ってなかった。
・(労作時呼吸困難) 本格的におかしいと思ったのは入院の前日。仕事が終わって着替えるためにロッカールームへ行こうと階段を上 がった時。動悸と息切れを感じて階段途中で止まってしまった。でもその後は普通に歩けたし早歩きも出来たので仕事疲れ のせいにした。ただ夫に心配させたくなくてこっそり救心を買って飲んだ。バレたけど。
…で翌日緊急入院になった。
カッコ内は全て私に出ていた心不全の症状を専門用語にしたものだ。ほぼフルコースだ。
思い当たった事を挙げてみたけれど結局のところあの頻脈発作がなかったら私は今この世にいなかったかも知れないという事。あのまま海外に行く為に飛行機に乗っていたら最悪機内で死んでいたかもしれない。その前に自宅で突然死していたかもしれない。
自分の体からの悲鳴を聞こえないフリして見えないフリして知識があるからと誤魔化す理由を並べて。医者の不養生ならぬナースの不養生を地で行ってしまった事をとても深く反省している。今更すぎるけれどね。