この話は、友人が頭皮トラブルに悩んでいるという話をきっかけに、いろいろ説明を試みたのだけど、そもそも情報量が多すぎる上、まとまってないな、という気づきからスタートしています。
しばらく引っ張ろうと思っているのですが(なんせ情報量が多いから)、そもそも注意しなければならないのは、「シャンプーが合わなかった」という話を聞いた場合「合わない」とは何かを確認する必要があるということです。
化粧品を使われたお客様からの相談を受けると、ほとんどの方が「合わない」という表現をされるのですが、この「合わない」という言葉には、例えばシャンプーの場合
・乾燥してしまった
・痒くなった
・ヒリヒリした
・痛みを感じた
・フケが出るようになった
・頭皮がべたつく
・髪の毛がもつれる
・髪のボリュームが出ない/出すぎる
・泡が立たなかった(「たちすぎる」というクレームもありました)
・匂いが嫌い(原料臭、香料が嫌い、香りが強すぎる、、など)
と、ざっと挙げただけでもこのくらいあります。
ちなみに、最初の4つは、洗髪中に感じたことの場合と、洗髪後の乾かしてから感じる場合があります。
髪の乾燥を洗髪中に感じるというのは不思議な感じがしますが、実際に「洗っているうちから乾燥する感じがする」というご意見は、散見されます。
これをざっくりとまとめると、ケースとしては以下のようなパターンに分類され、各々の原因が考えられるわけです。
1)洗浄成分の洗浄力が合っていない
実はこれが一番多いケースなのかなと思います。
洗い方の問題もありますが、「頭皮の皮脂分泌量」「髪質」「毛量」「髪の痛み具合」「ヘアセット剤の種類と量」「シャワー等の水圧、温度」「洗髪に用いる水の質(ミネラル分、pH」「洗髪頻度」「洗髪の時期」などによってもシャンプーの性質は大きく変わります。
そんな大げさな、と言われることもあるのですが、例えば日本より水の硬度が高い傾向にあるアメリカやヨーロッパでは、日本のシャンプーは泡立ちにくく、使いずらい反面、その地域のシャンプーを日本に持ってきて使うと、泡がたちすぎる上、洗浄力が強すぎて髪が傷んでしまうという現象が生じます。日本でも、鹿児島の一部で井戸水を使われている方から、似たようなお話を伺ったことがあります。
これに、本人が望む「髪の仕上がり」というのが加味されてきて、例えば「ボリュームアップ/ダウン」「まとまりやすい/サラサラヘアにしたい」「ふんわりさせたい/カチッとさせたい」などなど。
全ての人に「よい」製品というのが存在しないことはお分かりいただけるかと思います。
とりあえず、まずは頭皮に合った洗浄力の製品を使うことが第一かなと。そのためには、洗浄成分の特性を知っておくのがいいかなと思って、先の「ラウリル硫酸Na」の誤解について書かせていただいたのですが(詳しくはこちら)、このシリーズどこまで引っ張ってよいやら・・・
2)洗浄成分もしくは配合成分が肌に合わない
実は、最も危惧されるのはこちらのケース。
この「合わない」にも三種類あって
・一時的に刺激を感じているもの
・炎症反応を起こすほどの刺激になっているもの
・アレルギー反応を生じているもの
と、後に行くに従って、重篤度が増していきます。
「合わない」ケースのところでさらっと書いていますが、洗髪しているときに「ヒリヒリする」「チクチクする」という話を聞くことがあります。
シャンプーの洗浄力が強すぎて、そうした刺激を感じていることがあり、その場合は洗い流せば消えてしまいますし、そもそも使う量が多すぎる、とかシャンプーを直付けしている、といったケースもありますので、正しい使用方法なのかどうかを確認する必要もあります。
やっていない人から見ると嘘のようですが、いまだにボトルから直接頭に振りかけて使う人というのはいらっしゃいます。そして「ダメなんですか?」と返されます。
ダメです。
まあ、そんな人は置いといて、気にしていただきたいのは、皮膚刺激やアレルギーの問題。
実はこれは、シャンプーの洗浄成分や洗浄力とは関係なく生じます。中に入っている成分が、そもそも肌に合わないわけですから。ですので、どんなに高級な製品でも、低刺激、低洗浄力でも、起こるときは起こります。
かつての同僚で、肌が弱いので、敏感肌用の製品を使っているが、唯一アミノ酸系のシャンプーだけは合わなくて、アミノ酸系の洗浄成分が入っているだけで、2日ほどで頭皮がフケだらけになる、という人がいました。本人は、洗浄力が足りないからこうなってしまうんだ、と言っていましたが、今思うとアレルギーだったのではないかなと思います。
難しいのは、シャンプーの中のどの成分で反応しているかがわかりにくいということ。最近のヘアケア製品は、処方が複雑化して、なかなかわかりずらくなって来ました。こんな時に、成分を確認する癖をつけておくと、自分にとって合わない成分が見えてくるので、オススメです。なお、自分に合わない成分を「勝手に思い込む」傾向があるので、これは要注意です。
3)使い方が間違っている
これは、製品以前の問題ですが、意外にいらっしゃいます。
以前に、正しい洗髪方法なる記事を書いていますが、ここまでやらなくても
・洗髪前に髪と頭皮を濡らす
・シャンプーを手にとって軽く泡立てる。(せめて、手のひらに伸ばす。)
・よくあわ立てて、頭皮を洗う
・爪を立てない
・きちんとすすぐ
と言った、本当にごくごく普通の当たり前のことをやっていない人が、世の中には意外なほど多いのです。
ちなみに、今回はシャンプーの話を中心に書いていますが、実は刺激が最も強いヘアケア製品は、コンディショナーやトリートメントです。これはカチオン界面活性剤という成分が主体になっているのですが、この刺激が非常に強く、シンプルな処方では防腐剤の配合が不必要なほど。昔の処方では、コンディショナーに防腐剤の無い製品も多くありました。今でも、時々見かけます。
これを必要以上に長時間使ったり(まあ、裏技で長時間使用するやり方があるので、なんともいえませんが・・・)、洗い流しが不十分だったりすると、頭皮には深刻なダメージが生じます。化粧品は、記載されてある使い方を守ってお使いいただきたいものです。
とまあ、つらつら書いてきましたが、結局のところ何が言いたいかというと、化粧品も同じですが、やはり自分に合うか合わないかは、自分で試してみるしかないんだなあということ。
頭皮が乾燥する→ではアミノ酸系に変えましょう
というアドバイスをすることは多いですが、その際に、アレルギーの既往症などは確認しておく必要があります。なぜなら、皮膚アレルギーなどを起こしやすい人は、アミノ酸系の洗浄成分が合わないというケースをしばしばみるから。
一部の方は、むしろ普通のラウリル硫酸系の方が合っていて、これを薄めて使う方が安全だったというようなケースもあるのです。
ということで、特に乾燥する時期に知っておくと便利な、シャンプーの裏技的使い方について、次回は書いてみたいと思います。
ちなみに、敏感肌向け化粧品といえば、的なノブはスキンケアが有名ですが、ヘアケアやボディケアもしっかりあります。
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ものすごく不思議な処方で古くから存在しているDシャンプー。泡立ちが悪く、やや使いずらい特性があるのに、20年以上固定ファンに守られているという話です。色々試してダメだった人がたどり着くとも・・・
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ご存知「乾燥性敏感肌」向けのキュレルですが、主成分は「ラウレス硫酸Na」。主成分はこれでも、乾燥対策をしっかりできるという自信のようなものも見えますね。