まだコロナが猛威を振るっていた2020年12月、日経のコラムが埼玉にある近代日本の名建築を取り上げていました。その名は遠山記念館です。日興證券の創立者遠山元一氏が母親のために、昭和11年(1936)に建てたものです。

その記事は3年半、私の机のボードに貼ったままでしたが、今回ようやく訪れることが出来ました。

 

長屋門前のハス田がお出迎えです。

 

建物は国の重要文化財で一級品なのですが、アクセスの不便さも一級品です。

大宮に出向いたついでに車で立ち寄ったのですが、場所は埼玉県比企郡川島町、というより桶川市の隣と言った方がわかりやすいと思います。

桶川駅からバス13分乗車、下車徒歩15分とありますが、だからこそ戦災を逃れたのだと思います。

 

猛暑の中、館蔵品展のためか邸内は終始私一人でしたが、逆にじっくり楽しめました

美術館を見終え、邸宅の見学をしました。

 

玄関前です

間取りを見ていなかったので第一印象は地味と感じました。

が、上がって内玄関に回って見ると

柱と梁の太さと立派さに圧倒されます。

何せ敷地3000坪、建坪400坪ですから、今で言えば数十億円かかっているとのことでした。重厚さと雅が同居していますね。

 

軍需景気に沸く当時の証券会社がどのくらい儲かっていたのか、なんとなく想像がつきますね。その証拠がこちら。

土蔵の扉、というより土蔵全体が金庫にしか見えません。

迫力にあふれていました。

 

渡り廊下でつながっている東西中の3つの建物。

母親の没後は日興證券の迎賓館として使われたそうですが、広すぎて社員がてんやわんやしている様子が目に浮かぶようです。迷子になる広さです。

お母様も広すぎて面食らったのではないかと思います。

 

庭からの景色

 

一般人は雨戸の開け閉めと掃除、維持管理費だけで気が遠くなりそうです。

幸い公益財団法人なので、末永く続いていってほしいものです。

 

今朝の日経にもありましたが、土佐の高知の絵金祭り等、日本全国至る所にほとんど知られていない宝物が保存されています。

SNS全盛のこの時代、上手に活用して広めてほしいものですね。