知り合いから柴田是真の展覧会が良かったという話を聞きました。江戸末期から明治にかけての画家であり漆芸家で、かつて板橋区美術館で見たことのある額縁まで描いた漆絵や正月三が日と2月の午(うま)の日に公開の王子稲荷の鬼女図は強く印象に残っています。
そんな是心の作品が多数展示されていて、ほぼ地元で見られるわけですから、速攻で見学に行きました。長く絵を見ていますが、自転車で行ったのは初めてでした。
東京黎明アートルームという美術館で、MOAの岡田茂吉氏と関係があるようです。
東中野駅からも徒歩で近いのですが、今まで全く知らなかった場所です。
入場料は800円でパンフレットというより図録が付いていて、これが実によくできています。総数132点の写真とキャプション+経歴の解説がバランス良く配置され、読み応え十分です。
展示は軸、印籠や硯箱等の漆芸品、鳥の子紙に描いた模写や下書の粉本です。その柔らかいタッチと伸びやかさはとても下書きとは思えない程で、才能がほとばしっています。和紙に描いた粉本が、展示(鋲留め)の度に傷まないかと余分な心配までしたくらいです。
所蔵品の雪中芭蕉図は唯一撮影可でした。
柴田是真は能狂言にも造詣が深かったようです。羽衣福の神図屏風の展示では、脇のスクリーンに解説がエンドレスで写されていて、とても良く分かりました。
洒落たパンフレット
展示されている漆芸品の細工の細かさは驚くほどで、設置の拡大鏡をのぞき込むと仰天間違いなしです。さすがに帝室技芸員(今で言う人間国宝でしょうか)の技を感じさせる、濃密な展覧会でした。
会期は10月末までですが、建物はちょっとわかりにくい場所にあります。
スマホの経路案内を使って、是非鑑賞にお出かけ下さい。
世間にはあまり知られていませんが、特にお薦めです。


