いよいよ20年ぶりに新札が発行されます。渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎の肖像画と共に、世界で最も精度の高い技術が披露されることになります。

 たまたま、朝刊にその舞台裏を書いた記事を見つけ、展覧会も開催中とありましたので、早速、国立博物館平成館を訪れてみました。

 

 

 題名は国立印刷局工芸作品展です。

 会場は平成館一階の小さな部屋なのですが、その内容はとてつもなく濃いです。

 

 

 まずは凹版印刷の説明から始まり、ごく細かい等間隔の線を引いて肖像画や風景を描た作品が並んでいます。唐沢の滝などは、水墨画と変わらないイメージです。

 

 今回何が見たかったかというと、実演で工芸官(技官)が金属板に彫刻刀(ビュラン)で下絵に従って彫る様子です。目の前で見てみると、拡大鏡を通して息を詰めて彫刻に没頭されている姿は、異様とも思えるほどの迫力があります。

なんと言っても1ミリの間に最高10本の線を入れるのですから、何分続けられるのだろうとか目は大丈夫なのかなと逆に心配になります。

 

 後半は和紙にすかしを入れた作品が並びます。紙幣の厚さは0.1mm、その中で紙の厚薄で模様を浮かび上がらせる技術は、世界一といっても決して過言ではないように思います。

先般、とある行事で世界各国のお札を見る機会がありましたが、日本のお札はお相撲さんなら横綱レベルで、他国の追随を許さない精巧さを感じました。

 職員の方(工芸官)も、一生かけて腕を磨いていく仕事なのだと、見ていて頭が下がる思いがしました。7月15日まで開催しています。目の法楽になりました。