その昔、熱海に御用邸があった関係で、その周囲に別荘を持つ人が続出したのは明治時代のことです。贅を尽くした建物は、残念ながら時代とともに次第に消えていきましたが、現在でも見学可能なところがいくつかあります。

以前、旧友とともに起雲閣(根津嘉一郎氏元別邸)と日向別邸(日向利兵衛氏元別邸)を訪れ、建築の美しさ、丁寧さ、こだわりを堪能したことがありました。

その時、熱海駅前の山の南斜面にある日向別邸の隣地に、似たような風情の建物がありました。今回、偶然にも見学予約が取れたので、行ってみることにしました。

 

 

その名前は東山荘(とうざんそう)といいます。旧第一銀行(今のみずほ)元頭取の別荘として建設され、山下新日本汽船の山下亀三郎氏の手を経て、現在は世界救世教(MOAと同じ)の所有となっています。

市民ボランティアによる案内は日向別邸と同じで、とても丁寧に説明して頂きました。

斧で仕上げた栗など様々な樹木を柱に使い、建具も凝っています。

今まで、上下に動く雪見障子は見たことがありましたが、今回初めて猫目障子(小さく左右に開く)を知りました。

 

建物細部に至るまで手の込んだ作り方で、南斜面を回遊できるように並ぶ各建物や庭を見ていると、管理はさぞ大変だろうなと思わずにはいられませんでした。

動き回ったおかげで、友人たちとの夜の宴会は、大変にお酒が進みました。

いい一日でした。