猛暑の中、各地で夏祭りが盛んだが、山鉾、山車の船バージョンが少しだけある。
そのひとつが、名古屋近郊の蟹江町の「須成祭(すなりまつり)」
巻わら船に提灯を飾って、夜の川を巡行するというもの。
偶然、中高時代の友人が地元にいることを知り、訪ねてみた。
宵闇の中、建物の向こうに船の提灯の突先が、ゆっくりゆっくり近づいてくる。
なんと、舳先に綱をつけて、川下から川上に、人が引っ張ってくるという。
このアナログさがたまらない。
そして途中にある橋をロープで跳ね上げて通過させる、何という大らかさ。
これが江戸時代から続いているという。
町の平和と五穀豊穣を祈るにふさわしい祭りだ。
日が暮れかけてから船が通過するまでのしばしの間、かき氷で涼をとりながら旧友と語り合った。そして、彼の父親が昔、映画館をやっていた事を知り仰天、筋金入りの映画好きだったらしい。無声映画にはまっている私は、書いた本まで見せてもらった。
中学で知り合ってから早、半世紀。まさか、こうして地元の祭りを案内してもらって飲むとは夢にも思わなかった。お互いに運良く、ここまで健康でこられた事に感謝しつつ。
いい酒だった。友人は本当に良いものだ。