初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
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95 転移と投影
カウンセラーの話は
怒りを解放した後の僕だけでなく
怒りを解放する前の僕にも
当てはまるような気がする。
仕事で上手くいかないことがあった時
不安や絶望に打ちのめされて
自分の不甲斐なさを責めたり
心の内で、関わりのある人達を責めたりした。
妻には、出来るだけ伏せていたが
今思えば、イライラや不機嫌さは
伝わっていたように思う。
これから僕は、妻に負担を掛けずに
いられるのだろうか・・・
カウンセラーは話しを続ける。
「このような話を事前にするのは
ご主人の幼児返り、責任転嫁による混乱を
できるだけ小さく収めるためです。
お二人が事前に、幼児返りしやすいと
気づいていれば、そこから抜け出すことも
容易になるでしょう。
幼児返りしている自覚が無いまま
感情に振り回されてしまう状態は
転移、或いは投影と呼ばれています。
転移とは
自分が嫌な思いをしたあの時のあの人と
目の前の人を重ね合わせてしまうことです。
この人もあの人と同じように
私に嫌な思いをさせるに違いないと
無意識に感じて反応してしまうのです。
投影とは
自分が嫌な思いをしたあの時に
押し殺した思いを
目の前の人が自分に向けて思っていると
感じることです。
押し殺した思いが行き場を失い
自分に向かってくるのです。
あたかも自分の影になったネガティブな気持ちを
相手に投げつけて、それが跳ね返ってくるように。
幼児返りによって、転移や投影が起こると
本人の周りでさまざまな問題が起こりやすくなります。
人生がより複雑になってしまうのです。
感情を解放できることは、素晴らしいことですが
こういった幼児返りのリスクを知っていることも
大切なのです」
これまで黙っていた妻が口を開いた。
「先生、もし主人が幼児返りをしてしまったとき
私はどうすればいいんですか?」