初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
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94 責任転嫁
僕は今、初めて自分の怒りと向き合い
解放したことで、幼児返りしやすくなっていると
カウンセラーは言う。
その言葉が胸に重く響いた。
「支えきれなくなるって、具体的に
どんなことが起こるんですか?」
妻が心配そうにカウンセラーに尋ねた。
するとカウンセラーはホワイトボードに
何かを書いた。
「この言葉は、知っていますよね」
カウンセラーは書かれた字を指さして言った。
「責任転嫁・・・ですよね」
妻が確認するように言う。
「そうです。自分の責任を人になすりつける
といった意味の言葉です。
面白いと思うのは嫁という字が
使われていることです。
とつがせる・よそへやるという意味で
この嫁という字が使われているそうですが
責任を嫁になすりつける
とも読めそうですよね。
実際に幼児は自分の思い通りにならないと
母親に対して泣いたり怒ったりします。
幼児が自分でできないことに対して
母親に助けを求めることは
もっともなことだと思います。
ところが、大人が自分でできることをやらずに
助けてもらえないと言って、怒るとしたら
自分の責任を転嫁していることになります。
嫁や母親にとったら、いい迷惑ですよね。
幼児返りとは、この責任転嫁が
起こりやすくなるのです。
本人は自覚症状がないまま
自分の怒りや悲しみなどのネガティブな感情を
身近な人のせいにしてしまうことがあります。
あの時のあの自分がよみがえり
自分ではどうしようもないという思いに
飲み込まれてしまうのです。
こんなに自分が苦しいのは
<自分のせいだ!>或いは<相手のせいだ!>
という思いの間を揺れ動きます。
周りの人はその心の揺れに
振り回されてしまうのです。
奥さんには、ご主人との間で
今お話ししたようなことが起こる
かもしれません」
妻は黙ってカウンセラーの話に
聞き入っていた。