「自分を信頼できるようになり
真実と向き合うことが
できるようになることは
簡単ではありません。
そこには2つの痛みがあるからです」
「2つの痛み?」
カウンセラーの痛みという言葉に
反射的に反応してしまった。
これまで僕が感じてきた痛みなのだろうか・・・
「ひとつは思い出してしまう痛みです。
先ほどの例え話で言えば
父親が母親の死の現実を
思い出してしまうことです。
もう一つは忘れることによる痛みです。
例え話で言えば、電車の中での混乱がそうです。
父親も、子供達も、関わった女性も
母親の死という真実を失っているが故に
現実にうまく対応できずに
感情に振り回されることになります。
痛みを伴う真実を忘れることは
一時的には本人を楽にしますが
その時の状況をより複雑なものとしてしまい
本人を含めて周囲に
誤解と混乱を招いてしまうのです。
トラウマ(心の傷)を負うことは
思い出してしまう痛みと
忘れることによる痛みの間で
苦しむことなのです。
真実を思い出してしまいそうになると
忘れようとする思いが強くなります。
何かにハマりやすくなるのです。
仕事、恋愛、人間関係、テレビ、
インターネット、ゲーム、酒、
薬物、ギャンブル、食事など
さまざまなものに依存することで
なんとか心のバランスを取り戻す、
つまり忘れようとするのです。
その依存が強ければ強いほど
その人の現実がより複雑になり
誤解と混乱が生じてしまうのです。
苦しみから解放されようと
真実に近づこうとすればするほど
忘れようとする思いが強くなり
何かに依存してしまいやすくなる。
努力すればするほど
痛みや挫折を味わうことになります。
そんな体験が積み重なると
自己嫌悪や絶望感が強くなり
何も変えることができないという無力感から
死にたいと思うようになることもあります」
カウンセラーの言うことは
全て僕に当てはまっていた。
これまで僕は知らないうちに
2つの痛みの間を振り子のように
行ったり来たりしていたのか・・・
胸から腹にかけて
重たいものがズシンと落ちていくような
ショックを受けていた。