システミック・チャレンジズ | 大串正樹オフィシャルブログ「ぐしろぐ-大串まさきの活動のキセキ-」Powered by Ameba

システミック・チャレンジズ

6月14日に開催されたNATOの首脳会合でコミュニケ(声明)が発出されました。

https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_185000.htm

 

その55パラグラフで、中国に対しては以下の強い指摘が明記されました。

China's stated ambitions and assertive behavior present systemic challenges to the rules-based international order and to areas relevant to Alliance security.

(中国の野心及び強硬な行動は、ルールに基づく国際的な秩序及び同盟の安全保障に関する領域に対する制度上の挑戦を示している。)

 

もちろんロシアに対しては引き続き「脅威(threats)」という言葉が用いられているように、自由主義社会にとっては、もっとも強い懸念材料であることに変わりはありません。

 

しかし、中国に対して、特に「制度上の挑戦(systemic challenges)」という言葉が用いられたことは大きな意味を持っていると考えています。共産主義に基づく異なる制度を持ち込むことで、ルールに基づく自由主義の秩序を変更しようという試みへの懸念を明示的にしたのです。

 

他の多国間協議の場では難しくとも、このNATO首脳会談という安全保障上の協議の場で、米国主導でこのような文言を取り入れた(=加盟国間で合意された)ということは、今後の国際秩序の大きな転換点とも言えます。

 

もちろん、中国は反発を強めています。

 

しかし、翌日のEU米首脳会談でも、ウイグルとチベットの人権侵害にも触れ、東シナ海と南シナ海の状況への深刻な懸念を示しつつ、台湾海峡の平和と安定の重要性と両岸関係問題の平和的解決を表明しています。

 

主導的な立場で国際的な協調を作り出し、一手一手、布石を打ち続ける戦略性と外交力。我が国にも、その力が必要ですが、安定した政権運営と上質な経験の積み重ねが不可欠です。

 

私も経済産業大臣政務官を拝命した際に、世界中の要人との交渉を通じて得た経験を、さらに豊にしていくべく、頑張って参りたいと思います。