選択的夫婦別氏制度について | 大串正樹オフィシャルブログ「ぐしろぐ-大串まさきの活動のキセキ-」Powered by Ameba

選択的夫婦別氏制度について

以前は「夫婦別姓」と言ってましたが、法的には姓より氏が正確な表記なので最近は「夫婦別氏」が使われるようになっています。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html

自民党内でも議論が活発化しています。賛成派、反対派(夫婦同氏維持派)それぞれが議員連盟を立ち上げて、党内にも検討チームが設置されました。党を二分する議論になってますが、そこは上手にまとめていくことが政治の本質でもあり、自民党の良いところでもあると思っています。議論しながらも対立の構図にしないという点では一致しています。



党内ワーキングチームの初会合


夫婦別氏制は古くからある議論で、時代の変遷と共にさまざまなアイデアも出てきています。婚姻にあたり氏の変更を望まない人が少なからずいる以上、直ぐに認めるべきという意見もありますが、まずは論点整理が必要になります。

夫婦別氏とした場合
・子の氏の扱い(後から氏を変更する場合の扱いも含む)
・夫婦別氏を例外とするか、夫婦同氏と対等とするか
・後から(夫婦同氏→夫婦別氏、夫婦別氏→夫婦同氏への)変更を認めるか
・既婚者への対応(移行措置として)
・養子の氏と、夫婦が離婚した場合の養子の氏の扱い

思いつくだけでもこれらの論点があります。ただし、法的には戸籍法との整合性をどうするか、また、夫婦同氏制度のまま「通称使用」を広く認めるという案もあり、これでどこまで不利益を解消できるかなど、この辺も議論の焦点になりそうです。

夫婦別氏反対派の多くは、家族の一体性を主張しています。その反論としては、家族の崩壊は別の理由でどんどん進んでいる(夫婦同氏でも離婚が増えているなど)ので、全く別の対応が必要であるというものがあります。

また、夫婦同氏は日本の歴史や伝統であるという指摘もあります。しかし、伝統をどこの時代まで遡るか。そもそも、明治以前は庶民に氏の使用は認められず、その意味ではイエ社会よりもムラ社会こそ日本の伝統いう理屈づけもできます。

明治9年に一時、夫婦別氏制が太政官指令で定められました。にもかかわらず、定着しなかったという歴史もあります。日本人にとって強制的に夫婦別氏に移行することは難しいと考えられるので「選択的」という判断になると思います。

このように長い歴史の中で、さまざまな解釈がなされてきた概念なので、時間軸の整理も必要になろうかと思います。教育学などでは「言説研究」という手法がありますが、この夫婦別氏制も歴史の中で、どのように解釈され変化してきたかを概観する必要もあるのではないでしょうか。

特に、社会背景は男尊女卑から男女平等へ、さらには多様性の時代へと、大きく変化してきています。さらに、デジタル化やマイナンバーの登場により、個人の認証も、その意味が大きく変わってきています。

このような時代だからこそ、改めて、夫婦の氏の在り方について、議論していく必要があると考えています。