協働的な学びの場 | 大串正樹オフィシャルブログ「ぐしろぐ-大串まさきの活動のキセキ-」Powered by Ameba

協働的な学びの場

 文部科学委員会にて質疑をおこないました。

 先に衆議院で可決した小学校の学級編成の標準を35人に引き下げる議論。それは大きな前進ですが、やや「数」の議論に終始した感があるので、改めて指導の「質」の点を伺いました。

 そもそもこの議論は「令和の日本型学校教育」の議論の一環で「少人数学級」と「GIGAスクール構想」という両輪の実践を通じて「個別最適な学びと協働的な学びの実現」が目標とされていました。つまり少人数学級の実現はは目的では無く手段です。

 先に出された答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」が元になっていますが、少人数化という古くから議論されていた課題の再認識と、コロナ禍での現状の大きな変化を受けて、新しい取組に言及した意義深い答申だと思います。

 しかし、この答申では「個別最適な学びと協働的な学びの実現」という目標に対して、教育の現場で、どのように効果的な指導を実践するかという視点がありませんでした(この点は次の諮問とされました)。

 逆に、今の段階ではGIGAスクール構想や、少人数学級の実現が目的化したとしても、それは意味のあることで、早急に取り組むべき課題です。しかし、少人数学級とGIGAスクール構想は、あくまでも目的実現のための環境整備やツールであって、本来の目的に至る指導方法の確立が重要と考えて、この点を中心に質疑としました。

 ここで重要なキーワードとして「協働的な学び」の「協働」です。この協働にはさまざまな異義語がありますが、共同(combination)や協同(cooperation)とは違う「collaboration」を意味しています。組織論では、創発(emergence)という創造的なプロセスを含む深い意味があるので、この点を現場にもしっかり伝えて頂くようお願いしました。

 「発言が増えた」など表面的な効果だけではなく、対話や時空間を共有する事で、学習がより創造的になり、その関係性の中で生徒が成長していくプロセスを可能にしなければならない事を現場に理解してもらう必要があるのです。

 一方で、教師にも35人という少人数化の効果に加えて、協働的な学びを実現する新たな指導の在り方が問われます。協働的なティームティーチングにより少人数化との相乗効果を期待したいところ。教師も現場で協働的・創造的に成長していくべきであり、その視点も必要では無いかと考えています。

 生徒にとっても、教師にとっても、協働的な学びの場である教室は、創造的な場でなければならないというお話です。

 そして、大切なのは、この「令和の日本型学校教育」を評価する仕組みです。学習効果と学級人数を結びつけて因果関係を示す研究もあるのですが、若干の相関関係はあっても因果関係と結論づけるには無理がある研究も散見されます(既存研究への不満も今回の質疑への動機になりました)。

 今後の教育環境の議論を深める上でも(単により少人数学級化を進めよという議論ではなく)、EBPMの視点からも、少人数化と指導方法(TTの効果を含めて)の相乗効果について検証する必要があると考えます。今後は、その評価方法についての研究を進めて欲しいと、お願いして質疑を終えました。

 よりよい教育環境を作り、日本を背負っていく有為の人材を育むためにも、教育政策の分野でも頑張って参ります。