ご当地民主主義の鼓動 〇月〇日、区長になる女 | Mの国より愛を込めて

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自分の生活圏で道路整備が入る事を知ったペヤンヌマキ氏

そして、区長選では整備反対派が支援する候補者の存在を知る

しかし、住民の様々な要望がプレッシャーになりつつあった

 

 

 

 

 

 

鑑賞日 2024年6月15日

映画館 キネマ館

 

生活するうえで気になってくる地域の不満。

それを解消できる可能性の一つが選挙。

自分が気になっている不満に対して積極的に取り組んでくれそうな人を推す事は生活のしやすさにも繋がります。

しかしながら、今日のニッポンは政治の話をすると鼻つまみ者にされるなど、毛嫌いされてしまう状況。

その結果、多くの選挙で過去最低の投票率を更新している所。

 

嗚呼、こんなニッポンに誰がした。

そういえば出生率と比例しているので、投票率が上がれば出生率も上がるのかも。

 

本作はそんな地方選挙に吹いた新しい風の話。

一昨年の杉並区長選挙の候補者を追ったドキュメンタリー作品となっています。

 

ポイント

 

本作のポイントは地域に根ざした候補者。

杉並区で暮らしていたペヤンヌマキ氏、しかし住んでいたアパートが道路の整備計画に含まれている事を知る。

そして整備計画に反対している団体が区に対し計画の見直しを求める請願書を送るもなしのつぶて。

そこで近々行われる区長選で団体らは対抗馬となる候補者として長年海外のNPOで活動していた岸本聡子氏を支援することに。

彼女に惹かれたペヤンヌマキ氏は選挙活動の記録を撮る事になるも、会合では各団体からの要求に対するプレッシャーから岸本氏本来やりたかった政治活動が出来ない状況を目の当りにする。

 

果たして区長選の行方は?

 

今までの日本の地域の政治活動としては首長(市町村長や区長)や各議員に対し要望を行うものが主流。

要望を受ける事で次の選挙で票を入れてもらえる打算と立てるのですが、コレは地域の困りごとを自らの手で解決せず他人に任せています。

一方、ヨーロッパでは問題解決のため自らが政治活動を行う人々が多く、岸本氏もそのような地域に根差した民主主義を行いたいという考えがあったようです。

もっとも、現在ヨーロッパで極右が力をつけている一端になっている気もしますが・・

 

見どころ

 

見どころは後半、万歳三唱に変わるもの。

当選時多くの当選者は万歳三唱を行いますが、岸本氏はそれをせず自分たちのスローガンを読み上げるという事に。

コレは万歳三唱は元々大日本帝国時代に元首である天皇に対する賛美の掛け声の名残であり、地域住民を主とする政治方針とは相いれないため。

そういえば馬鹿正直に万歳三唱やってるなと思った次第です。

(確か沖縄では当選時に万歳三唱はしていないはず)

 

気になった点

 

気になった点は支援団体とのわだかまりをどのように取りまとめたのかが記録されていない事。

立候補取り下げまで危惧していた割にはあっさり選挙戦に入ってしまったので危機とは一体・・という感があります。

 

本作の監督は自分の居住地が道路整備にかかった事で政治が自分事になったため今まで無関心だった政治に関心を持ったとみられます。

しかしながら、生きている限りは政治に無関係である人はいません。

だからこそ、政治に関心を持ってほしいし、投票には必ず行ってほしいです。

 

余談ですが、投票率が低いと固定票を持つ現職および保守が有利と言われていましたが、ここ最近の選挙(衆議院補選など)では投票率は伸び悩んでいるにも関わらず保守(自民党)が惨敗しています。

コレは今まで投票していた固定票がゴリゴリ減っているという事。

固定票とは裏金が無いと成り立たない代物かもしれません。

 

余談その2、ペヤンヌマキ氏のアパートが引っ掛かっていた都市計画道路は第二次世界大戦の戦後復興の一環で計画された道路のこと。

しかし、住宅地をぶち抜いて道路を整備するような無理筋な計画なものもあり、70年以上前の計画に固執するのはナンセンスかと。

地域の実情に合ったインフラ整備を行った方が、地域の価値を上げます。

 

余談その3、本作では岸本氏は区長選に立候補予定となった時点で政治活動を行っていますが、コレは立候補者と名乗っていないので公職選挙法違反に当たらないもの。

次の都知事選に向けてフライング政治活動をしてるとピーピー騒いでいる連中は完全にけなしたいだけです、はい。

 

そもそも、何十年も政治家やっている人物が簡単に公職選挙法に引っ掛かる事をするわけないだろ!

・・いや、買収は公職選挙法に当たらないと考えている議員はいるかもしれない。

 

 

 

選挙を題材にした作品としてチョイス。

この作品で地域の有権者を思いっきり買収しているシーンがあり、今考えるとやっぱりなーと思ってしまう次第です。