処方された薬で依存症になりかけた写真家のナン
そこで、製薬会社と関係のある美術館にデモを仕掛ける
そんな彼女の行動原理は過去の情熱と挫折にあった
鑑賞日 2024年5月6日
映画館 キネマ館
R15+対象
性行為描写
麻薬使用描写
昨今の国際問題に対し、意に沿わない政府の行動に対してデモを行う人々が見られる昨今。
ただ、その様子を嘲笑するニッポン人のなんと多い事か。
60年代から70年代にかけて巻き起こった学生運動時を無かったことにしたい政府による「デモ、カッコ悪い」キャンペーンによるものかと思いますが、その結果が今の崖っぷちの状況となっています。
本作はそんなデモ活動を行う写真家ナン・ゴールディンを映したドキュメンタリー作品。
そして、その生い立ちも中々壮絶なものがあるようです。
ポイント
本作のポイントは活動家の軌跡。
性を題材とした作品で知られる写真家のナン・ゴールディン。
ある日、鎮痛剤として処方されたオキシコンチンの依存症に苦しみ、同士たちと共に製薬会社の経営者一族から助成を受けた美術館にデモを行う活動を始める。
そんなナンは子どもの頃に姉の自殺を期に家を飛び出し、麻薬や同性愛の文化にどっぷりハマっている。
それがきっかけで写真家となり作品を生み出していくも、エイズの蔓延により友人たちが次々亡くなってしまう。
多くの別れを経験したからこそ、ナンは行動を諦めない。
展開としては薬害に対する美術館でのデモのパートと、ナンの生い立ちを振り返るパートで構成。
やはり回想パートが衝撃的で、ビニ本張りの本番行為写真やぼかし無しの全裸写真、注射針がゴロゴロしているなど
これが暗黒の70年代・・
また、エイズが社会問題になった時代にかち合っており、ナンの交友関係が同性愛者が多かった事もあり次々エイズで倒れていく様子は流石にゾッとします。
見どころ
見どころは中盤、政府への辛辣な一言。
エイズに対して無理解な政府に対しナンの知人が辛辣なアクションを起こすけど?
自らもエイズに苦しみながらも、その行動の力強さは気迫を感じます。
気になった点
気になった点はデモパートがいささか地味な事。
どうしても生い立ちが壮絶すぎるため、現在のデモパートが割を喰らっている感があります。
デモを行う事の重要性を教えてくれる本作。
その行動力の源は辛いものがありますが、それが彼女を形作っているものです。
現状を変えるためにはやはり行動あるのみです。
同じく活動家としての側面があったファンションデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドのドキュメンタリー作品。
数年前にお亡くなりになりましたが、その影響力は健在です。