人口比率で映画館のスクリーンが全国最小であるMの国。
そんな映画に厳しい土地ですが、毎年のように映画祭が開催されています。
そして今年も開催されていたのですが、私が見た作品を簡単にプレイバックといった所です。
なお、順番は私が見た順番となっています。
ザ・バニシング消失
80年代にフランスで公開された作品で当時日本で未公開だったのを、今回デジタルリマスター化されたことをきっかけに日の目をみた作品となています。
内容は行方不明となった妻を探す夫とその誘拐に関わった男の話。
誘拐した側の男が色々不器用で失敗を重ねながらも狂気に向かって突き進む展開はヒリヒリしてきます。
一方誘拐された側の男も妻を思うあまりどんどん精神が壊れていくのも・・
オチはやるせない形なのですが、救われた側と目的を果たせなかった側として見ることもできるかと。
こどもしょくどう
親から愛を受けられない子供たちと食堂の息子の話。
周りから臭いといじめられている少年が、ホームレスの少女たちと合った後に「臭かったな」というセリフは中々痺れるモノがあります。
いたたまれないシーンも多く、憤りを覚えてしまうかもです。
子ども食堂もそのものも場当たり的な対策なので、根本的な解決を望みます。
恐怖の報酬
大ヒットするはずが同発公開だったスターウォーズに蹂躙され興業的に大失敗した作品。
その後、分割されたり色々ゴタゴタがあったものの、再びまとめ上げられた作品です。
内容は、様々な理由から国外逃亡した男たちが石油採掘場の火災を消すため不安定なダイナマイトを運ぶというもの。
非常に緊張感のあるシーンがてんこ盛りなのですが、ぶっちゃげちゃんとしたダイナマイトを持って来いよとツッコんでしまう作品。
ミスターガラス
多重人格の男を題材にしたアンブレイカブルとスプリットの続編。
先の2作品はホラーですが、本作はまさかのスーパヒーローもの。
自警団のような活動をしていた雨合羽の男と多重人格の男、そして彼らを管理する機関の話なのですが、それをかき乱すミスターガラスがキモとなっています。
ムトゥ躍るマハラジャ
インド映画を一躍有名にした作品。
今回デジタルリマスターに合わせてバーフバリで盛り上がったマサラ上映で上映!
オープニングからラジニカーントの全力アピールでテンションMAX!
ブルースリーを意識したアクションや大迫力&勝手に自爆する騎馬戦、ぶっ飛んだ展開など今見ても色あせません。
ワイルドツアー
地元の植物のDNA採取の手伝いをする事になった中学生が大学生に恋する話。
短編ながら青春の甘酸っぱいモノがこみ上げてくる作品となっています。
まあ、DAN採取の設定が無駄になっている感もありますが。
Playback
仕事に行き詰った役者の主人公が高校時代と現在について奇妙な体験をする展開。
高校時代はともかく現在の場面は違和感があるのですが、後半にその違和感が分かると面白くなる作品。
けど、結局彼はどうなったんだ?と思ってしまいます。
遊星からの物体X
SFホラーの金字塔がデジタルリマスター化!
南極で謎の敵に襲われたアメリカチームの闘いなのですが、クリーチャーの造形がじつにグロく、疑心暗鬼な展開にクラクラしてきます。
オチも実にSFホラーらしい奇妙な感じです。
嵐電
京都を走る路面電車「嵐電」の沿線に住む人たちによる三つの恋の物語。
京都造形芸術大学の看板役者だった大西札芳さんの演技が抜群に素晴らしく、彼女の演技を見るだけで本作の価値はあります。
ラストタンゴ・イン・パリ
傷ついた中年の男と若い女性による奇妙な愛の話。
R18+という年齢制限はついていますけど、R15+程度かと。
男の苦悩が分かる辺りから面白くなりますが、後半は無茶苦茶かと。
ニューヨークジャクソンハイツへようこそ
ニューヨーク州にある移民、特にラテンアメリカ系が多く住むジャクソンハイツを舞台にしたドキュメンタリー映画。
多くの国の人が住む町なのですが、そこならではの悩みもあるようで。
とりわけ移民としてやってきた人達の言葉は切実です。
イメージの本
問題作その一。
ジャンリュック・ゴダール氏による挑戦的な作品。
映像とセリフ、音楽がバラバラに紡がれ否応なしに頭の中がグルグルさせられる、まさに映画の暴力。
常人だと精神崩壊を起こしかねない狂った作品、コイツはキワモノさね!
気狂いピエロ
問題作その2、いや、超問題作。
やや上流の暮らしをしていた男が右派過激派の女性に惚れてしまい、行動を共にするというもの。
その自由奔放っぷりが度を越しており、見るものを全力で置き去りにしてしまうタイトルの通り狂っている作品。
オリジナルのフィルムが消失しているため、予備のフィルムを使ってデジタル化されているのですが、変なつなぎ方をしているためか、同じセルフを二回言う場面が所々見られます、故にさらに異次元にぶっ飛んでいきます。
既にみた作品(きみの鳥はうたえる、寝ても覚めても、反世界)を除くとまぼろしの市街戦以外はすべて見た形となります。
今回の特徴としては過去の作品のデジタルリマスター版が多かったこと。
とはいえ、当時日本で上映が無かった作品も含むので、見どころが多かったです。
来年も面白い作品を期待したいところです。