知るための一歩 誰がために憲法はある | Mの国より愛を込めて

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広島原爆の朗読を続けてきた女優達

しかし、講演依頼の減少により活動を終了することに

それでも彼女たちが読んできた言葉はより突き刺さる時代となった

 

 

 

 

 

公式サイト

 

鑑賞日 2019年6月30日

映画館 キネマ館

 

憲法とはその国の根幹をなすもの。

今から2年前、これが変わるかもしれないということで多くの人が戦々恐々として・・いや、していないとおかしいのですが。

本作はそんな憲法を題材とした作品、一人語りの「憲法くん」を原題にしている作品となっています。

 

が、実のところ本作での憲法は前文のみしか出てこなかったりします。

本作の大部分は広島原爆の朗読をおこなっていた一団を追ったドキュメンタリーとなっています。

 

本作のポイントは読み継いできたもの。

30年以上にわたり原爆で亡くなった子供たちとその親の言葉を朗読してきた女優達。

しかし、講演依頼の縮小により活動の終了が決まっていた。

そのメンバーの一人である渡辺は幼き日の記憶と原爆に浅からぬ因縁があった。

その出来事があったからこそ繋いできた言葉。

 

その思いを残していけるのか?

 

今日では様々な映像がアーカイブスとして記録されており、本作もその一端を担っている形となっています。

しかしながら、苦しく苦い言葉は人々は嫌がるもの、だけどその繋いできた言葉から目を背けることはできません。

 

見どころは後半、最後の言葉。

原爆の業火に焼かれた子供たちの最後の言葉も朗読されるのですが、最も多かったのが母親を呼ぶものなのですが、次に多かったのが「天皇陛下万歳」という言葉だったそうです。

今では象徴でしかありませんが当時は国の元首であり生き神という扱いでした。

この間国会で天皇陛下万歳と叫んだ議員がいたようですが、これを考えると背すじが冷たくなります。

 

気になった点はもう少し憲法を扱ったネタが欲しかった所。

憲法くんのパートが思いのほか短いので、ドキュメンタリー部分が大半になってしまっています。

そのため憲法を題材にした作品と思ってみると肩透かしになってしまった感があります。

 

今回本作を見た時には製作者の舞台挨拶があったのですが、そこで話していた事は「本作をきっかけに憲法を知ってほしい」というもの。

確かに護憲・改憲を論じる前にちゃんと憲法について知っていない人が多い昨今。

そこまで難しくないのでぜひとも知っておきたいところです。

 

という訳で前文を

 

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 

なお、どの辺を改憲しようとしているかは、こちらが分かりやすいかと。

 

 

 

 

 

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同じく広島原爆で亡くなった子供たちの言葉が語られている作品。

こちらも衝撃的です。