歩いていった先 海よりもまだ深く | Mの国より愛を込めて

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作家の傍ら探偵をしていた良多はは別れた妻と息子が気になる性分
そこで、台風が来る日の夜に実家に二人を招く計画を立てる
呆れる姉を他所に別れた夫婦と息子、そして祖母がが集うけど?








公式サイト


観賞日 H28.5.21
映画館 セントラル


子供の頃、誰もが将来の夢が輝いていた頃があるかと思います。
それが月日が経つにつれ色褪せていき、大人になると・・こんなはずではなかった!

本作はなりたい大人になれなかった男が未練がましく元妻と息子とよりを戻そうとする話。
コレだけだと、なにやら情けない話なのですが、監督が昨年「海街ダイヤリー」で日本アカデミー大賞をかっさらった是枝裕和監督。
主演が阿部寛さんですが、美女揃いだった前作に比べると地味?
いやいや、今や日本映画界で欠かせない樹木希林さんと小林聡美さんのツートップが本作を盛り立ててくれています。

本作のポイントは別れた家族。
小説家ながら本を一冊しか出せず、探偵事務所で働いていた良多。
しかし、ギャンブル癖が直らず、稼ぎを賭け事につぎ込んでしまい実家の母親や姉にお金を借りる日々を繰り返していた。
そんな良多の気がかりは別れた妻と息子こと。
取り分け妻の響子に恋人が出来ており、再婚しないか探偵仲間と共に見張っている状況だった。
そんな折、月に一度の息子と過ごす日、そしてこの日は台風が近づいており、良多は息子と共に実家の祖母の家に向かうことに。
そして良多の思惑通り息子の迎えに来た響子が台風により一緒に泊まる事となる。

嵐の夜に集う一家、それぞれの思いが語られる一夜となる。


実のところ、本作は是枝監督の出世作ともいえる「歩いても歩いても」と非常に似た作品となっています。
どちらも阿部寛さん樹木希林さんが出演している事に加え、取り分け何か大きな事件があるわけでもなく、ちょっとぎこちない家族の姿を映している作品となっています。
しかし、本作は「歩いても~」と異なり、ちょっとした笑い要素が散りばめられており、コメディ寄りとなっています。
このあたりは評価が分かれそうですが、個人的に評価しています。

見所は後半、ラジオの聞きながらの親子の会話。
やりきれない思いに燻る良多とそれをいなす母親とのシーンなのですが、実に含蓄に飛んだセリフがポンポンでてきます。
そしてラジオも・・なるほどね。

気になった点は探偵という設定があまり活きていないこと。
最終的に家族の話になってしまうとはいえ、非常に勿体無い部分です。
もっと絡ませても良かったはずですが・・
あと、妻の響子が良多の母親と姉に完全に食われていること。
真木よう子さんには申し訳ないけど、樹木希林さんと小林聡美さんの存在感に比べると見劣りしてしまいます。

前作の「海街ダイヤリー」や前々作の「そして父になる」に比べると派手さが無い作品ですが、コレこそ是枝監督の真骨頂。
話のテンポも良く、終始笑ってしまう内容となっています。
「歩いても~」の雰囲気を残しつつ、より完成度を高めた作品だと思います。




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是枝監督の出世作であり、実質前作に当たる作品。
一見何気ない家族の話なのですが、常に影がちらついています。
オチがやるせないのは気になるかも。