あまりにも久しぶりのシネマベーラ。
一本立てになってから初めて来たのでした。
各回完全入替制で整理番号順、名画座というよりミニシアター風。
ちょっと寂しい気もするが、並ばないで良い&一本さらっと観に行ける、と思えば時間と体力がない自分の状況にマッチしてるとも思える。。。
二本立で一本しか観られず帰るのは無念だったし。
会員有効期限もとっくに切れていたので更新しました。
めっきり、通えなくなっているけど、
これからも映画館で映画を観るゾ!と自分への宣言。
引きこもって一日が終わりそうだったけど、エイやっと気合い入れてゴダールの「はなればなれに 」を。
【愛の力学】
「はなればなれに」
Bande à part
1964年/フランス/96分
二人のチンピラが若い娘をそそのかして押し入り強盗の片棒を担がせるというお話だが、
犯罪ものというより、ライトなおしゃれ映画。
男二人と女一人という絵になる黄金率、彼女の気を引くための付かず離れずの駆け引きが疑似恋愛のようでもあり、やりとりが洒落てます。
正直のとこ話は結構寝落ちしちゃったんだけど「ラ・ブーム」でソフィの父親役のクロード・ブラッスールの若い姿、王家衛の「欲望の翼」でレスリー張國榮によって語られる“脚のない鳥”のエピソードが出てきたのが見どころ。
あと有名ダンスシーン。こういうお話だったとは長年ごしの確認。
音楽はミシェル・ルグラン。
アンナ・カリーナはまだ素朴さがあって、どうってことない娘を演じてる。
ほんの数年で変わるんだな。映画も変わってるのだろうけど。
バカ女!と言われつつ二人の男を魅了し、最後はちゃっかりしてる、ゴダールのヒロインの形だな。
こういう役、ジェーン・バーキンにも似合いそう。
今作でのアンナ・カリーナのフレンチシックなファッションが、フツーに今でもおしゃれですなあ。
タータンチェックのプリーツスカートにクルーネックのニット、バレエシューズ、この秋さっそく真似できそう。(若作りと言わないで!笑)
ゴダール、ヌーベルバーグ期の作品だけど、ゆるゆるで。
即興演出に表現の可能性を求めるのは、観てる方には「ふ〜ん」なときがあります。
そこが新しい風だったかもしれないけど。
10、20代の頃、いくつか観ていたっけな、と思い出して観に行ったのだけど、
あんまり集中して観てなくて、
そういえばこの同時期の日本映画なんかすごいレベルの作品を量産していたんだもんなと、チラと思ってしまった。
3人が芝居してる背景に「ヌーベルバーグ(Nouvelle Vague)」と書かれた看板が映るシーンがあるのだけど、あざとさがほほえましい。
なにげない看板が意味を持っている作品というと、ソクブン監督の「大阪ど根性物語 どえらい奴」の冒頭、お嬢様の藤純子と使用人の藤田まことの、実は好きあっている二人のツンデレ芝居の場面の隅っこに、ほんの一瞬映る「片想ひ」という演劇の看板。
あれは気が利いてて流石と思った。
日本のヌーベルバーグといえば、わたしにはやっぱり松竹ヌーベルバーグよりも断然、沢島忠監督なのだけど、ヌーベルバーグ時代劇と言われた沢島監督「そんなカッコいいもんやあらへん。ただの職業監督や」と大変謙遜されていたけれど、よっぽどちゃんとした新しい風であったと心から思う。
そういえば、これまたご無沙汰しているラピュタ阿佐ヶ谷で「東映文芸映画の宴」という企画が週末から始まるけれど、あの渡辺祐介監督の「カレーライス」が久々に観られるので楽しみにしています。