「私の矜持『俳優との取り組み』を示す7つの出来事、その5」は新しい仲間たちのことを書きましたので、その6は廃業した仲間たちのお話をさせていただくことにします!
受け入れがたい事実かもしれませんが、
俳優は、そう名乗ってしまえば、誰でも俳優になれます。
お花屋さんに勤めるか、営むかしないと花屋と名乗れないし、
サラリーをもらわなければサラリーマンと名乗れないし、
公共機関で働かなければ公務員と名乗れないですが、
一度も俳優としてギャラをもらったことがなくても、自身が名乗れば、俳優です。
一方で
俳優を生業にしてる(にしようとしてる)人たちをサポートするのがミッシングピースのコンセプトです。
契約の際、この違いについて、あるいは職業という概念についてしっかりと話をしています。
そうしているうちに…俳優を廃業する人たちが出てきました。
俳優で舞踊家のJさんはミッシングピースの俳優Bの舞台を観て
「僕はBさんみたいな芝居がしたかったのだなと気がつきました。
そして、到底Bさんには及ばないってことがわかりました。
芝居はBさんみたいな人がやればいい、僕は僕にしかできないことをやるべきだと気がつきました。
代わりのない人になりたい。
だから俳優をやめます。」
以来、Jさんは俳優のキャリアを持っていた舞踊家として彼にしかできない世界を作り、指導しています。
最後に
「背中を押していただきました。ありがとうございました。」と挨拶された時はこみ上げる涙を必死でこらえました。
Kさんは俳優では家族を幸せにできないからと教師になりました。
ミッシングピースを立ち上げるより、ずっと前に半年ほどワークショップ的な指導をしたことのあるLさんが
私と出会って2年後に大学に入学して、今年、教師として働き出したことをフェイスブックで知りました。
今年の契約更改に至らなかったMさんに私は
「騙されたと思って、思い切って一度、休みなさい。一度、この業界を離れてごらん。
貴方が思っているほど、この業界でしか生きていけないわけじゃない。
この仕事でなければ幸せになれないって決めつけないで、ちょっと離れてごらんなさい。
離れてみて、それでもやっぱりって思ってから、やり直しても決して遅くないから。
離れてみないと分からないことがきっとあるから」と話しました。
先日、Mさんから(おそらくMさんのお母様から)ビールのお歳暮が届きました。
スタッフみんなでいただいたビールは苦い味がしました。(ビールですから!)
少なくない別れの数々…
別れ際、その背中に抱きつきたくなる、その手を引き寄せたくなる感情が押し寄せますが、
「背中を押していただきました」と言ってくれたJさんの言葉を思い出しながら、
私にしか出来ない愛情の示し方もあると思い、
去った人たちの想いも引き継いで、私たちはこの生業を邁進しています。
