昨日は浅野令子が招待してくれて、彼女の夫、浅野雅博さんの演劇ユニット、イマシバシノアヤウサ:IMSA(浅野さんの他に石橋徹郎さん、鵜山仁さん)の舞台「アイランド」を観劇に下北沢オフオフシアターに

 

*イマシバシノアヤウサ blog https://ameblo.jp/mojo-mickybo/

 

*イマシバシノアヤウサ Twitter https://twitter.com/imsa_2019

 

先日、5年ぶりに会って盛り上がってる俳優の市野将理くんとアルパカちゃん(次女)と一緒でした。

市野くんは蜷川幸雄さんの元で活躍していた俳優で初舞台がギリシャ悲劇のオイディプス王

 

「アイランド」はそのオイディプス王に出てくるアンチゴーネをモチーフにしているからに「物凄く興味あります!」ということだったのでお誘いしました❤️

気になる俳優と舞台を観に行くのはその人の感性と私の感性に共通点があるか、ないか、どこかが分かるのでドキドキです。

 

共通点の見出せない俳優と仲良くなるのはきっと難しいと思うので。。。

 

舞台が終わって浅野雅博さんと石橋徹郎さんと(令ちゃんと市野くんとアルパカちゃんと)缶ビールで乾杯しながら歓談したのですが、話がどうしても雅博さんにそっくりな浅野家の長男に及ぶので舞台のお話があまりできませんでした。

 

令ちゃんと約束したので舞台の感想を3部構成にして、ここに記します。割と大作ですw

 

舞台を観ていない人が観てない舞台の他人の感想に興味湧かないですよね。


その舞台を観ようかなとか、なんか舞台観ようかなって探してる人しか面白くないと思うので、

 

自分の頭の中では

1、舞台全体の感想

2、俳優、浅野雅博さんについて

3、26日間、26公演を演じる取り組みについて

 

考えたのですが、

 

このブログを読者の方々には俳優とその関係者が多いと自負していますので、2、俳優、浅野雅博についてを掘り下げ、1と3はサクッと最後に書かせていただくことにしました。

 

(舞台はめちゃくちゃ面白く、後に引くというか、舞台を見事に盛り上げていた太鼓の音のようにズシンズシンと心に沁みて私を騒つかせています)

 

さて、浅野雅博(ここからは敬称を略させていただきます)

一言で言うと”丁寧”俳優です!

 

スキルの高い俳優と出会ったことは少なくありませんが、これほど丁寧に演じる俳優と出会ったことはありません。

物語の舞台は刑務所、演じる役はアフリカ人、舞台美術もSEも素朴。

 

だからこそ俳優の素材が勝負なのですが、彼の持つ生来の品性、愛情、冷静さが、舞台が必要としてる素朴さを損なわない程度に滲んでいました。

 

それは彼が丁寧に丁寧に演じるからだと思います。

 

彼の思いやり溢れた演技で荒々しいゴツゴツとした石橋徹郎の演技が自由自在に光を放ちます。

 

その場の一つのピースに徹することで自分自身が誰よりも輝く、与え続けることで誰よりも与えられてる。

私がミッシングピースの俳優たちに求めている理想像が具現化されていました。

 

丁寧に丁寧に、まるで機を織るようで、鶴の恩返しのおつうが自分の身を削っていたような、そんな”徹した”演技でした。

 

さて舞台全体の感想です。

物語のベースはアパルトヘイトと言う人種差別制度に苦しみ、戦う黒人の物語です。

 

正直に言うと、この題材が馴染めなかったので、(脚本は有名な作品です)

受け入れられない状況を自分の手で変えるために戦う人々、考えることを奪う為政者、いわゆる社会に屈する手前で踏ん張る人間の強さ、哀しさ

 

未来を信じて、未来の子孫に託して、その苦しみを自分たちで食い止めようとする人間のつながり、決意、誇り

 

にたどり着けるまでは二人の俳優の演技と舞台美術とSEに助けられました。

 

SE、つまり音がヤバイです。

 

アフリカを思わせる太鼓をベースにした音は土や汗の臭い、灼熱の太陽や荒れた深い青い海や白い眩しい砂浜を思い起こさせます。音が臭いや色や光を連想させる、聴覚が嗅覚や視覚に影響することがすごいです。

 

舞台美術はオフオフシアターの狭さを利用して、監獄の息苦しさを体現し、木・ロープ・毛布・アルミシート・コップ、普段から目にしている何でもない物が海になったり、砂浜になったり、衣装になったり、電話になったりするのは俳優の力によるところが大きいと感じました。

 

苦しい物語です。決してハッピーエンドでも何でもないラストなのに

神々しいほどに前へ進もうとする二人の男の姿が目に焼き付いて

 

あらゆるものを犠牲にして手放さなかった”戦う自由”と、苦難の道を仲間とともに選ぶプライド、気高さは私の毎日を勇気付けることでしょう。

 

一緒に観た市野くんは「魂が震えるほど感動した」と言っていました。

 

 

 

26日間、26公演。

毎日、舞台を育てていく覚悟を持ったイマシバシノアヤウサの取り組みも

心ある俳優なら誰もがやりたくて、でも出来なくて。。。

 

その覚悟、誇り、舞台への愛情、観客を信じる勇気、すべて頭が下がります。

 

このところ新聞の劇評でも取り上げられ、チケットが取りにくい回も出てきてるようですが、

*8月13日読売新聞、夕刊

 

俳優として、これからどうしようって思っている方、

日々、変わろうとしない何かと戦っている方、オススメです。