声の部門を立ち上げる準備として、ボイスサンプルを収録する必要があります。

 

そこで、私と新しいスタッフで声のいい人、あるいはその分野に挑戦してもらいたいと思う人に

ボイスサンプルのための原稿を自分で用意するようにと指示をしています。

 

すると、ある熱心な女優が

「こんなのはどうでしょうか」

 

とすぐに二つ、三つ送ってきました。

 

熱心だなと感心したのですが。。。

 

俳優は自分の演技プランを提案する役目を担っています。

 

その中で、こんなのはどうでしょうか。こんなこともできます。こっちもいいと思うんですが。と、いっぱい出していれば、

 

その俳優がこんなことも、あんなことも、そんなこともできる、なんて引き出しのいっぱいある俳優なんだと思ってもらえると考える人がいらっしゃるかもしれませんが、

 

そもそも「これはどうですか」を出せる状況にない場合が多いです。

 

そもそも引き出しは無限にあると期待されている(当たり前と思われている)ものなので自分が一番いいと思うものを提供するのが基本です。


センスが問われているんだと受け取ってもいいですね。

 

 

その女優は、その後、いろんなものをドンドンと新スタッフに送っていたことを今朝、知ったので、これはあかんわと思い声をかけました。

 

「自分で選ぶ、一つか二つしか出せないと言うプレッシャーを感じて、作るのはものすごい大事です。

 

オーディションも含め、現場では、やってみて、反応見て決めることはできない状況が多いからね」

 

彼女「そのプレッシャーを無意識に避けようとしてたかもしれないです。自分の良い部分を、自分で発見するためには欠かせない「圧」ですよね」

 

ブランド化。。。なのかもしれません。


ブランド化を特に意識し始めたのは

ちょっと前にラジオCMのディレクターM田さんが「僕はオモロイものが出来る環境じゃない仕事は断ります」とおっしゃってから。


私はその言葉にすごく感銘を受け、以来、ミッシングピースの大事な判断基準の一つになっています。

 

彼女にどこまで分かるかなと思いながら

「ブランド化というかね。ものすごい大事です。やらない選択。選ばない選択。見せない選択」と送ってみましたら、

 

彼女「ブランド化…!なるほど。。


無印良品のBGMがクラブミュージックだったらオカシイだろそこはアコースティックだろ、みたいなものですよねぇ」

 

その話はそれ以上には突っ込まず、彼女に合うなと思ったTVCMのナレーションがあったので教えると、

 

彼女「聞いたときに、たしかに雰囲気があってるなと思いました。声のトーンというか。

文章(コピーっていうんですか)が素敵ですね!優しいし、入ってきやすい。

…M田さんとお仕事させてもらえるようになってから、良いコピー考える人すごいな、CM作る人すごいな、と初めて思いました。。」とM田さんの話を持ち出すので、良い感覚してるなと感じました。

 

自分で選択する責任を持つと、耳も目も頭も良くなります。

気づきが増えるのです。

 

そのことに少し彼女は近づいているようです。