バス停にて、、、

「何分ありますか!」

と聞かれました。



「57分ってなってますね」

バス停に貼ってある時刻表を見てお伝えしました。



う、、、、

この方、頭洗ってないな、、、

なかなかのオイリー臭が風に乗って私の鼻をかすめてくる。

手にはコーラのペットボトル。

常同行動があるらしく、常に足踏みをしている。

ペットボトルのコーラが振られる状態、次蓋を開けた時に大丈夫?

吹き出さない??



しばらく経って

「何分ですか!」

と言われました。



語尾が上がる口調ではなく、

命令するような強いトーンで言ってきますが、

何故だかちゃんと質問として聞こえる不思議。



「バスですよね、57分に来るみたいですよ?」



まだ53分。

また聞かれそうだな、、、笑



しばらくして、後から来た少年にも

「何分ですか!」



少年もまた私と同じように

「バスですか?」

「57分」

ぶっきらぼうながらもスマホで時間を確認して教えてあげてました。



「何分ですか!」

やはりまた聞かれました。



「57分に来ることになってますけどね〜」

時間は55分。

あと2分か、また聞かれるのかな、笑



あれ?手にコーラのペットボトル持ってない。

ふと視線を落とすと、バス停の足元に空になったコーラのペットボトルが。

しかも風で倒れて転がった。



時間を尋ねるその人を見た私。

ペットボトルをもう一度見て、さらにもう一度その人を見る。

彼もまた私を見る。



ペットボトルを指さし、目で問いかける。

あなたがここに置いた?

彼が「てへっ」みたいな表情をした。



いやいや、ダメでしょ。

今度は言葉にして

「これ、ダメですよね?」



彼は頷いて空になったペットボトルを拾い、自分のジャージのポケットにしまった。



よく出来ました、という意味を込めて

私はニッコリ微笑んで見せた。



常同行動で足踏みをし続ける彼は、ちょっとずつ私に近づいてくる。

スマホが覗きこめそうなほど近くに来て、

「バス何分?遅れてる?」

急にちょっと親しげになった、笑



「遅れてるみたいですね」

私も先の少年がしたように、スマホで時間を確認し、ついでに遅れの情報をチェック。

「57分に来るより前の便も遅れてるみたいですね〜」

と教えてあげた。



少しして、

「来た!」

と私の方を向いて、彼はバスが来たことを教えてくれた。

視力が良いらしい、私には見えないバスが彼には見えた模様。

交差点の向こう側にバスが来たのが見えた。



我先にと彼はバスに乗り込んだ。



私は彼が奥の座席へ向かったのを見て、あえて前の方に向かったので、そこで彼との関わりは無くなった。



袖すりあうも他生の縁

という言葉があることからも、何かしらの縁があるのでしょう。

そんな彼がどうかバスの中でもペットボトルを捨てずに持ち帰ってから捨ててくれますように。