思わぬ拾い物の後は引き続き
シネマロサの同じスクリーン同じ席にて
 
風よ あらしよ 劇場版
 
 
テレビドラマだったそうだが
まるで知らず、
お馴染み映画.com で内容を知って
伊藤野枝を見逃すわけにはいかないっっ
 
明治時代の九州福岡、
東京の女学校に行ったノエは
故郷で無理やり祝言をあげさせられる
 
男尊女卑が当たり前の時代、
良妻賢母を求められるが
納得はいかない
卒業式までのモラトリアム、
教師の辻に相談すると
そんな結婚は破棄して逃げてこいという
 
真に受けて故郷を捨て、
身一つで辻の下に転がり込む
驚いた辻だが彼女を受け入れ、
彼女の進歩的な才を認めて協力する
 
平塚らいてう主宰の青鞜社に入り、
その文才を武器に
女性解放運動に没頭するが
紹介された無政府主義者大杉栄に惹かれ…
 
と、歴史物としては実話ベース、
王道のストーリー展開なれど
これまた丁寧な作りでわかりやすく、
あ、NHKのドラマだったのか、
なるほどだな〜〜
 
純粋なる正義感から
何事にもムキになる野江の姿に
自分も理想論者の自覚のある大杉は
男女の仲を超えて惹かれたのだろう
 
関東大震災直後の混乱に乗じて
逮捕というよりも拉致されて、
凄惨な殺され方をする場面は
テレビ用なのかそこまでの衝撃はなく
ソフトに抑えられていた気がするが、
それでも理不尽さは伝わってくる
 
しかしこの大杉栄役の永山瑛太、
この時代のこの時期に、
福田村にも出現してエライ目に??
いやぁ、こうした配役を受けて
きっと役者の楽しさを味わったことだろうね〜
なんてね
 
伊藤野枝の吉高由里子も熱演だが、
たまたま編集助手で手伝っていた
華の乱での石田えりと風間杜夫夫婦が
どうしても目に焼き付いていて、
そのイメージが拭えずに困った〜〜〜
あちらはストーリー的には
本筋ではなかったんだけどね
深作演出がやっぱり力強かったんだなあ
 
野江の自由奔放に見える生き方は
実は自由というものを渇望した、
その時代の、否、それまでの時代の、
女性たちの代弁だったのだろう
心の中に押さえ込まれ、
その存在さえも知らない自由という概念は
女だけに限らなかったからこそ、
そこに大杉栄も命を捧げたのだろう
 
その時代の運動家たちが
命を賭して勝ち得た女性の権利は
今、行使されているだろうか
自由のはき違えをしてはいないだろうか
 
理想論こそ人間の希望、
そう信じている、
そう信じているけれど、
そう信じて襷を渡してくれた先人たちに
どう応えればいいのだろう
自分の無力さを思うと
心底がっかりしてしまうなぁ…
 
で、今作でもまた
永山瑛太氏に驚くばかり、
最初、
セリフをほんの一瞬、
それこそ5齣もない程度詰まったか、
と思ったら、またそれがあり、
ああ、吃音だったか、
と徐々にわかってくる辺り、
なんなのこの芝居は、
というほどの周到さ
きっとこれから先まだまだ
この人の凄さを観られるだろう、
楽しみなりっっ
 
 

 

 

 

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