天気の都合であれこれあって
TOHOシネマズシャンテ
 
対峙
 
 
これまた題材的には
睡魔注意かと思いきや
とんでもない、
最後は席から立てないほど
 
とある静かな佇まいの教会へ
招かれた二組の夫婦がやってくる
 
セラピストらしき女性が
一室を入念にチェックしてしつらえ、
二組をそこに招き入れると
自分は去っていく
 
残された二組の夫婦は
ぎこちなく挨拶して、
気まずい空気の中を
互いを気遣いながら話し始める
 
互いの子どもの様子を聞き合い、
それぞれがようやく落ち着いたことを
穏やかに話し始めるのだが、
言葉の端々から
それぞれが犯罪被害者と加害者の親、
ということがわかってくる
 
互いに裁判か何かで会っているのだろう
面識も知識もあるのだが、
こうして面と向かって話すのは
もちろん初めてのことで、
被害者側はセラピストから
決して詰問しないこと、
責めないことなどを言い聞かされている
 
加害者側はもちろん、
詫びるしかないのだが
もうすでに数年来、
多くの非難を受けて
社会的制裁を受け憔悴しきっている
 
そしてその実際の犯罪が
どんなことだったのか、
これもまた話の端々からわかってくる
 
特に母親としての感情から
落ち着きが崩れて
感情もむき出しになったり、
それでも乗り越えようとしたり、
 
とにかくのっけから
こちらも衝撃で涙を禁じ得ない
 
まぁ、語りたいけど
これから観ていただくしかない、
こんなにも真正面から
辛い現実を視覚的ではなく
心理的に向き合った作品を知らないし、
ほとんど全編がこの4人の会話で
それが緻密でスリリングな構成
 
銃の乱射事件ということは
すでに予告編にあることなので
ネタバレではないから書くが、
加害者家族にとっては、
被害家族はこの夫婦だけではない、
これは10分の1でしかなく、
この10倍の重荷を背負っている
ということになる
 
あまりにも大きな重荷に
こちらは知るほどに愕然となる
辛い現実を乗り越えるために
人間にできることはあるのか、
自我ではどうにもならないことや
絶望からの出口は癒しは
復讐か許しか、
どんなこともありうる世の中で、
いつ我が子が
加害者になるか被害者になるか、
そんなことを突きつけられた気さえしてくる
 
この作品、
イケメン俳優のフラン・クランツが
初脚本初監督だそうで、
なかなか深い思いがあったとか
 
教会の女性がちょっととぼけてて
手伝いの青年とのやりとりが絶妙、
これも逆にヒヤヒヤさせて面白い
 
今年いちばん、
文句なく涙した作品なり
 
 
 
 

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