汗と埃にまみれて現場を走り回っていた時代、

下っ端記録(スクリプター)ってのは

低予算の作品に回される傾向にあり、

それは必ずしも現場のしんどさとは比例しないけれど

モチベーション的には、やっぱりあんな作品につきたい、

と、先輩のゴールデンタイム作品的な華々しさに

正直なこところ、憧れもしたっけ

 

その憧れの対象のひとつは、

当然、この大スターさん、田村正和の主演作

 

のちに現場を引退して編集室勤務になってからは

その作業をしている編集室を覗きにいったりもしたなぁ

 

特に印象が強かったのは、

とにかく田村さんの声が低いこと

低い、というより、小さい??

 

これはもう、録音部泣かせもいいところで、

時代劇だから周囲の音もマズイし、

当時はワイヤレスマイクの使用もなく、

現場で録音した音をリレコという磁気テープ起こしする際に

1本は普通のレベル、

もう1本は思いっきりセリフレベルを上げたもの、

という2本を編集部に上げてきた

 

すると編集部は、ノーマルな1本をメインにして、

音の高い方のセリフ部分のみを切り込んでいく、

という作業を行なって、普通にセリフが聞こえる工夫をした

 

しかし編集助手さんは、

そもそもこのガイドとなるノーマルな音源から

セリフを拾うのさえ難しく、

四苦八苦している場面になんども出くわした

 

いやぁ、懐かしい、

その助手さん、同い年で仲よかったけど、

ちょっと子育て中にhaha が断ち切ってしまい

今や音信不通で、毎度の猛省、

今、何を思っているかな、

と、この訃報を聞いて真っ先に思い出した

 

ま、技術的なことはあっちに置いといて、

当時大好きだったのは、なんといっても連続版の、

 

乾いて候

 

↑この写真はスペシャル版っぽい↑

 

劇画原作だが、公儀お毒見役の田村正和、

将軍の食事を毒味するんだから、命がけの仕事で

その繊細さがぴったりとハマって、悲劇チックで最高

毎回惚れ惚れしてしまう

 

これは他の撮影所だったが、映画作品、

 

子連れ狼 その小さき手に

 

 

これはもう、涙涙、

立ち回りでこんなに泣けるなんて〜〜、

と、悲しみの体現、やっぱりいい男には悲劇が似合う

 

というふたつが、とにかく大好きであった、

ってことは、我ながら面食い

今回の訃報第一報でも、写真を見て、

うわ、こんなイケメンだったのか、と再確認したもの

 

後年の現代劇の数々は、

ちょうど子育て真っ只中でテレビを見ていなかったし、

古畑任三郎に至っては、

なんだこれ、刑事コロンボのパクリじゃん、

って、ほとんど見てなかったから

あ、やっぱり三谷パクリ幸喜かっっっ

(失礼、とも思わん)

 

やはり綺麗系は綺麗なまま、

プライベートを一切出さない昔のスターさん、

その華を貫いた潔さ、いやぁ、惚れ惚れ

 

乾いて候、再放送を強く望むっっっっっ

時代劇のフジ、今は昔…

 

そういえば〜〜

撮影所の真ん前にあった古い食堂のおばちゃんが、

阪妻さんのところへよく食事を届けていたそうで、

三兄弟(四兄弟)の子どもの頃を覚えているって

話してくれたっけ

うわぁ、懐かしや、夢の中にいた感じ、

これまた、今は昔…

 

 

 


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