物販の納品で、お得意様事務所へ出かければ、

帰りはもちろん、その近くの映画館へ

 

年明けのシネスイッチ銀座は、レディスデー、

 

  家(うち)へ帰ろう

 

 

午後イチの回を観ようと決めて、

朝イチに劇場前の混雑に並んで座席をゲット、

納品先まで歩いて、往復したら、ちょうどいい時間

 

年々座席がスクリーンに近づいてしまっていたが、

今回は2階席の最前列で、ちょっと遠いけど観やすい

 

アルゼンチンに暮らすアブラハムは、

老人ホーム行きが決まった上に、

悪い右足の切断も迫られている

 

明日はいよいよホーム行きだが、

娘や孫たちを騙して、一人家を出る

 

行き先はポーランド、生まれ故郷の友を訪ねる

 

終戦時に交わした約束を守るため、

70年の時を経て、一人国境を越えるわけだが、

とにもかくにも、ドイツを通過したくない

 

何しろ、その国の名を口にすることさえ拒んできたから

戦争のトラウマは半端じゃない

 

旅に出て、いろんな国の、いろんな人に出会う定番で、

有り金を盗まれたり、列車の説明にヤケを起こしたり、

だけどなぜか、この爺さんはモテるのであって、

必ずと言っていいほど、女性が助けるところはど〜なの??

 

彼の来し方がわかるのは、台詞よりも

疲れ果てたときの夢だったり、

追い込まれたときのトラウマだったりで、

どれも短いシーン、

決して多くは語らないのに、とてつもなく雄弁なカットばかり

 

多くを語らずに、彼の歴史、

ユダヤ人の舐めたとてつもない辛苦、

震えるような屈辱が伝わってくる

 

そして、彼はついにワルシャワ入りし、

果たして友に会えるのだろうか…

 

というところなんだけど、

唯一残念なのは、この素晴らしい主役さん、

なんか、妙な老けメイクに見えるんだけど〜〜

 

もしかしたら、どっかで近い頃の回想があるとか???

で、老けメイクなのか???

なんて、アップになる度に余計なことを考えちゃってね、

で、ついにそんな場面はなかった

 

実際、後で調べたら、この俳優さん、まだ60代の人で、

役柄は90歳に近い設定だから、無理もなかったんだな

 

とはいえ、演技はすんばらしいんだから、

まんまもありなんじゃ??

 

ま、これは大きな減点だけど、

演技力はメイク力をカバーする、ってことで

知らず知らずに、涙がこぼれてしまったのは言うまでもない

 

しかし、いつの世も、どこの世界も、親子は他人なんだな、

いちばん理解が遠いのが、いちばん近い身内ってことで

身につまされる

 

子どもを描くなら、その経験があるから誰でもわかるけど

老人を描くとなれば、誰もまだその経験がないんだから、

想像力は、いかに寄り添う気持ちがあるかどうかにかかる

 

施設バイトでは、戦争トラウマを持つおばあさんがいた

普段は冗談を言ったりもするユーモアのある人なのに、

急に不安になってしまったりして、

時には朝から、女でも行かなくちゃならないのよ、とか、

男の人がみんな戦争に行っちゃったから、働かなきゃ、とか、

 

実際に働きづめで、独り身だった人だった

身体的に介助が難しくなって、特養に移転されたけれど

昭和2年生まれのこの人、

奇しくもこの映画の主人公と同じ、1927年生まれだった

 

想像力には、寄り添う気持ち、愛がなくっちゃ意味がない

戦後70年を機に、ヨーロッパでは愛ある作品が多く生まれた

さて、日本はどうだ…

 

こうして他国の作品を観て、

自分の想像力を保持するしかないなら

この国の文化そのものが、貧しいような気がするよね…

 

 

 


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