バスケ日本代表で昨シーズンにNCAAネブラスカ大学で活躍した、富永啓生選手がNBAのインディアナ・ペイサーズとエグジビット10という契約を結んだそうです。
エグジビット10の内容は下の通り。某バスケ系のHPのコピペです。青文字が契約の内容、緑字がチームにとってのメリット、臙脂字が選手にとってのメリットです。
エグジビット10に定められた契約内容は「リーグで定められた最低年俸での1年間契約」となっています。ただし、この契約は無保証となっていて、シーズンの途中で契約が打ち切られても、年俸の残りの金額は支払われません。
一方で、もしNBAチームと契約が解除されてしまっても、その選手は、各球団の下部組織であるNBA・Gリーグのチームとの契約に切り替わり、下部組織の中で育成の機会を与えられることになります。同時に、Gリーグのチームに60日間在籍すれば、最大5万ドルのボーナスが選手へと支払われます。
練習生などではない、選手契約であるため、プレシーズンゲームへの出場は問題なくできます。その一方で、シーズンが始まる前であれば、エグジビット10契約から2ウェイ契約への切り替えが可能となっていて、NBAとGリーグを行き来しながら育成するか、それともGリーグで下積みをしてもらうか…という、NBAで生き残りを懸けた選手に対する、見極めのための契約とも言えます。
エグジビット10での契約がチームにもたらすメリットとしては、選手を他球団や海外リーグに流出させないままに、育成のチャンスを与えられることが挙げられます。また、NBAで用いられているサラリーキャップ(チームの年俸総額の上限を定めた制度)の中で、最低年俸での契約ということもあって、予算枠を圧迫しすぎず、同時に無保証というシステムでもあることから、契約を途中で打ち切ってGリーグチームに送る…となっても、残りの年俸を支払う必要がない、という部分で考えれば、自由度が高い契約とも言えます。
エグジビット10は、選手にとってもメリットがあると言えます。1つは、シーズン前のトレーニングキャンプやプレシーズンゲームで結果を出せば、2ウェイ契約への切り替えを通じて、NBAへの挑戦権を得られること。また、さらなるアピールで、NBAへの本契約を結ぶことが可能である…という、直結した制度であることは大きな魅力と言えるでしょう。また、若手選手の視点で考えれば、もしNBAに生き残れなかったとしても、傘下のGリーグチームで改めて鍛え直すことができる…というのは利点であると言えます。Gリーグで結果を残し続ければ、翌シーズンにNBAへの「昇格」のチャンスが訪れるほか、他球団への売り込みにもつなげることができます。
先に日本に帰国した渡邊も、トロント・ラプターズ時代にエグジビット10から2ウェイ契約に移行して、本契約を勝ち取りましたね。富永も頑張って欲しいです。