メンバーは変わっている様ですが、まだ現在も活動している NIGHT RANGER 。彼らのヒット曲は「(YOU CAN STILL) ROCK IN AMERICA」「DON'T TELL ME YOU LOVE ME」「SISTER CHRISTIAN」「GOOD-BYE」等、初期の3作品に多いです。バンドに最も勢いがあった時でした。
左から;ブラッド・ギルズ(g.)、ジャック・ブレイズ(b.&vo.)、ジェフ・ワトソン(g.)、ケリー・キージー(ds.&vo.)、ジェシー・ブラッドマン(key)
ですが、今回はあえて5thアルバム『 MAN IN MOTION 』を紹介します。1988年作品です。
ロックよりもバラードの方がヒットしたからか、5作目の本作はロック色を前面に押し出したハードな作品となりました。一時期の勢いは無くなりましたが、円熟味が出た演奏は素晴らしく曲も良かったです。
ただ、ファンは同バンドに 「 円熟味を求めていなかった 」 のかもしれない。ずっとイケイケで良かったのかもしれない。でも若いころのデビュー時はイケイケでも、人間は成長していきます。それとともにバンドの音だって変っていっていい筈。でも、ファンはそれを求めなかったのかもしれない。それが同バンド失速の原因かもしれません。
かく言う私も、このアルバムはかなり聴きこんでから「理解」しました。
オリジナルメンバーのアラン・フィッツジェラルド(key)が脱退しており、上の画像にあるジェシーは新メンバー。新入りという事で出しゃばれなかったのか(笑)、キーボードが抑えられた音になっていました。ですが逆にそれが幸いしてギターがかなり前面に出ており、「ロック色」はかなり強いアルバムとなりました。
バンドの衰退期にリリースされたのが本当にもったいない程、クオリティは良い作品です。ただ、あまりにハードな作品となってしまい、レコード会社から「彼らの売り」であるバラードを入れる様に強要
されてしまったそうです。仔細は知りませんが、レコード会社の意向で入れられたのが⑩だと思います。残念な事に、見事に「蛇足」になってしまいました。
以下、恒例の全曲紹介です。
① MAN IN MOTION ・・・ アルバムのオープニングナンバーは、ミドルテンポですが力強いロック曲。ギターソロでの、ジェフお得意の8フィンガー奏法ーはさすがです。その他は普通の曲なのですがね(笑)。
② REASON TO BE ・・・ アコースティックで始まるので「もうバラード系か?」と思ったら、途中からスローテンポながらヘヴィーな曲になりました。ケリーがヴォーカルをとる渋くアダルトな曲ですが、ファンは同バンドに「アダルトさ」は求めていないのかもしれません。「存在する理由」とは、少々重い歌詞ですね。
③ DON'T START THINKING ( I'M ALONE TONIGHT ) ・・・ メロディアスなギターとキーボードが絡んだイントロが美しく、曲もだんだんハードになっていきます。テンポが良いロック曲で、切なげなメロディも良い。でも、これも「アダルト」です。
http://www.youtube.com/watch?v=RdIUtXpmdKY
④ LOVE SHOT ME DOWN ・・・ これもアコースティックから始まりますが、歪んだギターが乱入してハードな曲調になっていきます。ブラッドとジェフのギターバトルも楽しめます。同バンドのバラードはもちろん良い曲が多いですが、こう言ったミドルテンポのロック曲もまた魅力的だと思います。
⑤ RESTLESS KIND ・・・ ケリーが歌う、あまりに美しいバラード。恐らく、本作で一番人気がある曲でしょう。「SISTER CHRISTIAN」系の曲ですがこちらの方が洗練されており、楽曲の完成度は高いです。ツインリードのギターソロが美しい。普通の曲(良くも悪くもない)である⑩のPVを作る位なら、この曲の方が遥かに良かったです。
http://www.youtube.com/watch?v=OaFUi-RY5Z8
同バンドの大ファンであるかつぼうさんは、この曲を同バンド最高のバラード曲と認定します。申し訳ないですが、「SISTER~」でさえこの曲の前では霞みます。
⑥ HALFWAY TO THE SUN ・・・ いきなりジェフの必殺技「8フィンガー奏法」で始まるヘヴィーな曲。最初のAメロにはバックにギターがなく、それがBメロ以降の破壊力を増幅しています。ギターソロの後のちょっとした展開がカッコ良く、ゾクゾクきます。
http://www.youtube.com/watch?v=2LQAJwYcnP8
⑦ HERE SHE COMES AGAIN ・・・ ギターがバリバリ(死語)鳴っている、ハードなロックナンバー。
⑧ RIGHT ON YOU ・・・ ジェフ祭り。聴けば、B!誌でジェフが「好きな曲」と言っていた理由がわかります。
⑨ KISS ME WHERE IT HURTS ・・・ ストレートなロック曲。ブラッドとジェフ、弾きまくり。ギターソロが凄い。
⑩ I DID IT FOR LOVE ・・・ 普通のバラード曲。プロモーションヴィデオが作られたのは、シングルカットされたこの曲だけ!
⑪ WOMAN IN LOVE ・・・ イントロが少々変わっている程度で、その他は普通のロック曲。アルバムの最後にしては、少々荷が重い。
申し訳ないですが、初めて聴いた時 「 ⑩と⑪は不必要だ 」 と思いました。今もその考えは変わりません。
でも、トータルで考えれば本作が同バンド最高かもしれない。