今日のスケッチ。
ギリシア、サントリーニ島。
色は明日。
吟遊詩人、
この言葉は、素敵な響きがある。
ギリシア神話は各地方土着の物語があり、各地を渡り歩く吟遊詩人によってひろめられた。
ギリシア神話が面白いのは、吟遊詩人によって、聴衆が喜ぶような話が付け加えられたからだと思う。
ギリシア神話は、紀元前8世紀頃にホメロスをはじめとする吟遊詩人によって歌われていた。
子供に人気のある吟遊詩人もいただろうし、色気のある話が得意な吟遊詩人もいただろうと想像する。
吟遊詩人は、芸人の原型であり、小説家でもあったはずだ。
どの国にも民族にも神話がある。
この世界はどうしてあるのか、どうやって世界が生まれたのかが、神話で語られる。
自分たちのルーツを明らかにしたいという気持があるのだろうが、人間には、架空の物語を楽しみたいという性質があり、物語性の強い神話になるのだろう。
人間は、幼い頃から物語を聞きたがる。
私の娘も、寝る時に、私がお話をしないと眠れなかった。
スペインの映画、題名は忘れた。
南米出身の男がスペインで、勇名な作家になった。
ある時、男の故郷の町から、講演の依頼があり、男はそれを引き受けた。
小説家が、故郷の町の近くの空港に降りた。
空港には、迎えの町の役人が待っていた。
空港から故郷の町までは、数時間荒野を横切っていく。
しかし、途中で車が故障した。
荒野の中だから、明日の朝にならなければ助けの車は来ない。
作家と役人は、一晩を車で過ごさなければならない。
退屈した役人は、作家に頼む。
何か物語を話してくれ。
作家は役人に、物語をこしらえながら話をしてあげる。
私は、これが小説の原型だなと思った。
人間は、いくつになっても、物語を聞きたがる。
どの民族の神話も神々しい話より、面白さに重点を置いた話になるのは理由があるのだ。