今日のスケッチ。
昨日絵ハガキサイズに描いた絵の元にした写真を、今度は大きめの紙に描く。
やはり大きいサイズでは細かいところが誤魔化せない。
今日は下描きだけ。
春日八郎のヒット曲。
お富さん。
粋な黒塀見越しの松にあだな姿の洗い髪
死んだはずだよお富さん
生きていたとはお釈迦様でも知らぬ仏のお富さん。
私が小学一年生の時で、1日に何度もこの曲がラジオから流れてきた。
意味がわからないながら、歌詞は自然と覚えてしまった。
歌舞伎の演目の一つに『与話情浮名の横櫛』(よわなさけうきなのよこぐし)という名
作がある。
登場人物は「切られ与三郎」「お富さん」そして地元の親分「赤間源左衛門」が主な登場人物。
イケメンの与三郎は、ヤクザの親分、赤間源左衛門のメカケであったお富といい仲になる。
怒った親分は子分たちに命じ与三郎を簀巻きにして木更津の海に投げ込み、お富は江戸に連れて行かれてしまう。
その後、偶然江戸で再会した二人を描いた作品だ。
しがねえ恋の情が仇あだ、命の綱の切れたのを、どう取り留めてか木更津から、めぐる月日も三年越し、江戸の親には勘当うけ、よんどころなく鎌倉の、谷七郷(やつしちごう)は喰い詰めても、面へ受けたる看板の、疵がもっけの幸いに、切られ与三と異名を取り、押借(おしがり)強請(ゆすり)も習おうより、慣れた時代の源氏店(げんじだな)、そのしらばけか黒塀に、格子造りの囲いもの、死んだと思ったお富とは、お釈迦様でも気がつくめえ。
なるほど、春日八郎のお富さんは、与三郎がお富さんに話しかけている名セリフを゙歌詞にしたのだった。
おかみさんへ、
御新造さんへ。
お富さんへ、
いやさ、お冨。
久しぶりだな〜
しかし、お富さんが流行った頃、大人たちは切られ与三郎の芝居の事を知っていただろうか。
今でも歌舞伎を見た事がない大人が大部分のはずだ。
実は切られ与三郎は、実話をもとに講談として語られていたのを、歌舞伎作者が歌舞伎作者作品に仕上げたのだ。
しかし、音楽を楽しむのに理屈はいらない。
ラジオで簡単な解説を聞いたかもしれないが、歌舞伎作品とは別に軽快な音楽を楽しんだだろう。
今でも英語の歌詞はわからなくても、ビートルズを楽しむではないか。
私は度外れた音痴で音楽は分からないが、この人の可愛さにまいっている。