今日のスケッチ。
フランスの村。
色は明日。
昔、紙芝居が流行った時期があった。
忍者漫画の白土三平、ゲゲゲの鬼太郎の水木しげるも紙芝居作家だった。
紙芝居の絵は印刷するのではない。
描いた絵はニスを塗って固めた。
つまり紙芝居の絵は一枚しかない。
紙芝居屋は子供たちからは紙芝居のおじさんと呼ばれていた。
紙芝居のおじさんは自転車に紙芝居と煎餅などの駄菓子を積んで街頭を回って、拍子木を打ったり法螺貝を吹いたりして子供を集めて駄菓子を売り、人数が集まれば紙芝居を始めた。
その絵十数枚は、翌日はほかの地域の紙芝居屋さんに回される。
東京の下町で上演された紙芝居の絵は、数年後には九州の南、都城で上演される。
その紙芝居屋さんの間で傑作と評判だったのは、物語を創作する能力のあった売り子、松井光義と高橋誠二郎という放浪画家のコンビで作った「順番」という時代劇だという。
高橋は将来を嘱目されていた洋画家だったが、酒で身を持ち崩し、紙芝居画家になった時は、アル中で、酒が抜けると手が震えて筆も持てない状態だった。
松井も市井の放浪者であり、この放浪者コンビの作った紙芝居を見てみたい。
紙芝居の売り子は、不況で食いつめたあげくなった人達である。
その人たちが名作と推した作品だ。
見てみたいが、もう無理だろうな。
水木しげるの絵も、紙芝居廃業の時点で、たぶん、ゴミとして処分されているだろう。
貸本漫画にも、水木しげるの傑作、河童の三平があった。
映画でも、いわゆるエロ作品にも傑作がある。
紙芝居作品も、評価される作品がある。
そのうち、古い民家の倉庫から、そのような作品が出てくる予感が私にはある。