今日のスケッチ。
高尾駅前。
電車で、私の向かい合わせに座っている男の子。
たぶん、小学生でも低学年。
学齢前の妹さんとお母さんと一緒。
男の子の広げている大きな図鑑が気になる。
軍艦や捕鯨船、帆船などの画像が見える。
船が好きで、お母さんに買ってもらったらしい。
妹さんが、図鑑に手を伸しつきても知らん顔で、図鑑夢中だ。
古い船もあるらしい。
私とは離れているから、細部は見えないが、黒いシルエットで、昔の軍艦だとわかる。
あっ!
あの艦橋のゴチャゴチャした形は、戦前の大日本帝国海軍が無敵だと思われていた頃の戦艦陸奥だ。
見せてもらいたかった、そして戦艦陸奥について、語りまた話を聞きたかった。
もちろん、わたしが爺さんで、少年を戸惑わせるだろうことはわかるから、話しかけなかったが。
趣味が一緒なら年齢は関係ない。
大人になっても、50歳になっても、ベーゴマ遊びから
抜け出せないおじさんがいた。
昔、テレビで放送していた。
ベーゴマ大会というのがあるらしい。
おじさんは毎年出場している。
鉄工所を経営しているから、ベーゴマを磨いたり削ったりして強くするのはお手の物だ。
そのおじさんに、小学生の強豪が挑戦した。
二人とも真剣だ。
おじさんが勝つと、小学生は悔しそうだし、おじさんは満足の笑顔だ。
小学生相手に何を大人げないなどと思ったら、小学生強豪に失礼だ。
小学5年生の時に悔しかったこと。
私の生家は、大衆食堂で夜は居酒屋みたいになった、
酔ったおじさんたちが戦時中の話しをしていた、
一人のおじさんが、日本が世界に誇る戦艦陸奥を、戦後アメリカ軍に取られて、原爆実験で沈められたのは残念だと言う。
違う、違う、原爆実験の犠牲になったのは、戦艦長門だ。
戦艦陸奥は、柱島係留中に謎の大爆発で沈んだのだ。
そう説明すると、近くにいた父親が、大人の会話に口を挟むなと𠮟った。
戦記漫画とプラモ作りから、軍艦に興味を持ち、大日本帝国海軍の軍艦、戦艦、巡洋艦、駆逐艦について、排水量、主砲の口径、戦歴をそらんじていた私は悔しかった。
ところが6年生になると、軍艦に興味を無くし、今度はお笑い漫画を描く事に熱中した。