初心
哀川翔さんとの出会いがきっかけで、全てを捨てて
Vシネマ俳優を目指し上京した水元秀二郎。
最初は哀川翔さんと接点がない為、今は芸能界にはいないが当時Vシネマの帝王だった
清水健太郎さんの元へ行き俳優への道へ入った。
厳しい先輩だったが、今の俺のがあるのは本当に清水健太郎さんがいたからなのは間違いない事実でもある。
はじめ、みんなに俳優になんてなれる訳ないだろ!と笑われたなー。
まぁその後、清水健太郎さんは皆さんご存じの通り塀の中へ……。
にっちもさっちもいかなくなった俺をたくさんの方がサポートしてくれた。
そして後に哀川翔さんの運転をするに至る。
最初に主役になった時、母はテレビにも出ていたので、『コネだろ!』と随分書き込みもされたが、コネでVシネマという全国に並ぶ作品の主役になれるほど世の中は甘くない。
監督、スタッフ、配給会社、すべてがオッケーしないと無理な世界で、インディーズDVDとは訳が違う。
むしろコネならテレビドラマに出ていただろう。
テレビドラマなんて出たくて俳優になった訳じゃないので、自分で勝ち取った主役だった。
がむしゃらに走った。
走り続けているうちに、少し名前が出て来て調子に乗っている時期もあった。
女にもよくモテた。
走りっ放しで女性と浮き名まで流し、大切なものをたくさん失った。
ふと気付くと、俺はひとりぼっちになっていた。
初主演の時の謙虚な気持ちが、今はどうだろう、普通になってしまい、自分に疲れてしまった。
最近店を始めたりして俳優になる前の自分がいて、自分が俳優だということを忘れている時すらある。
唯一思い出すのが、応援団やグルッぽ、カメ農園などで、みんなと絡んでいる時に
『あっ、俺応援してくれる人がいる』
と思い自分が俳優だと思うんですよ。
今悩んでいる。
俺はこのまま俳優でいれるのか、実業家だけを真剣にやりゃいいのか。
初心に戻り、今自分が進むべき道をしっかり考える人生の分岐点にいる気がする。
人生って難しいね。