明治35年の写真を残して、京都探遊會の人たちはとっくに下山を始めましたが、ちょっと待って!富士山頂にはまだこだわりたいところがあるんです。
コノシロ池です。
初めて登った時はただの水溜まりでしたが、「富士山 村山古道を歩く」の本に出会い、富士山とかぐや姫の言い伝えなどを知ってからは見過ごすことができず、かぐや姫気取り(?)で記念の写真を撮りました。
2008年8月31日は前々日の大雨で大きな池となっていましたが、この時以降、こんなに水を張ったコノシロ池を見たことがありません。
(同じく2008年8月31日撮影 逆さ剣ヶ峰が写っています。)
かぐや姫やコノシロ池に詳しい荻野武彦様が資料のコピーを沢山送って下さいました。
文献の引用が多く、前半は漢字が多い文語体なので分かりにくいのですが、後半は口語体のものが多くなってきて読みやすくなりました。
※郷土史に詳しい荻野武彦氏は明治35年の写真(京都探遊會)を所蔵している奈木盛雄氏の甥御さんです。
かぐや姫は竹の中から生まれるとばかり思っていましたが、竹林の中の金色に光るウグイスの卵から産まれる、という話もありました。
また、岳南地方のかぐや姫は男性(国司であったり、帝だったり、)と一緒に暮らすという設定が多いようです。
さらに、子供の頃に読んだ絵本と大きく違うのは、かぐや姫は月に帰るのではなく、富士山に帰って行くのです。
(2012年8月21日撮影 僅かでもなんとか逆さの剣ヶ峰を写したいと思ったんですね。)
富士山に帰ったかぐや姫を恋しく思う男性(国司、帝)は富士山に登って行き、姫と一緒に岩窟で暮らすものや、天人となってしまった姫を見て悲しむあまり大きな池に身を投げて自殺するものや、かぐや姫とともに池に沈むもの等、ラストは様々です。
また、ある帝の場合、かぐや姫に恋い焦がれる思いが火となって、姫の形見の鏡に燃え移り消すことができず、周囲の者がかぐや姫が生まれた駿河の国に戻すけれども消えることなく燃え続け、富士山の頂上に運んでも煙は収まらない、というものもありました。まさに噴煙を上げる富士山ですね。
(2009年8月15日撮影)
(2012年8月21日撮影 赤い屋根は富士山本宮浅間大社奥宮)
様々なかぐや姫の言い伝えは荻野さんから直接聞いて知っていたので、このようにコノシロ池がブルドーザーの通り道になっているのを見ると、とても無残な感じがして悲しくなります。
(つづく)