「いや〜、寝てまいましたわ〜。」
「 オレも爆睡でしたわ〜。」
ゴルフの後、やらしくない方のマッサージが終わったときのこと。
彼の顔を見ると、おでこに「肉」と書かれている。
まだ寝起きだが、私は状況をすぐに察知した。
笑いそうになるところをぐっとこらえて、素早く周りのみんなを見ると同様にすました顔をしている。
「どないしましょか〜?」
「どないしましょっか?」
これからの展開に期待が高まるが顔には出せない。
「ちょっとユニクロに買い物行きましょか?」
笑いを噛み締める。
当然声には出せない。
込み上げてくる笑いをぐっとこらえながら平然と、
「あーいいですね。」とみんなが答える。
Aさんが「オレ、ユニクロ行ったらフィートテック買いたいんだよね〜」
Aさんは 少し噛んだ。
しかしヒーローはその甘噛みを見逃さなかった。
「フィートテック!」ギャハハハハハハ
「フィートテックやて〜なんやそれ?!そんなもんあらへんわ!」
ヒートテックをフィートテックと言い間違えたことがツボにハマったらしく、ヒーローは大爆笑している。
「え?マジっすか?Aさんフィートテックって言うたんですか?」と言ってヒーローの顔を見た。
おでこ には 肉 と書かれている。
ダメだ おもろすぎる。
大爆笑。
でもここは大丈夫。
みんな肉を見て笑っている訳ではない、フィートテックを笑っているのだから。
ダメだ、腹がいたい。
しにそうだ。
ユニクロに到着した。
店内にはたくさんの鏡が置いてある。
ヒーローは服を手に取り、鏡を見るかもしれない。
ヒーローごっこもここで終わりかと思ったが、
おでこに肉と書いているヒーローはなんの躊躇いもなく店内をグイグイと歩き回る。
これはもう完全にヘンタイだ。
そしてヒーローは私に近づいてきた。
「何か買います?」
やめくれ、その顔で話かけないでくれヒーロー。
「いや、オレは何も買いませんよ」
精一杯の回答だった。
笑いがこみ上げてきて、これ以上話すことができない。
「ほな、出ましょか。」
ヒーローと一緒にショッピングモールを歩いていると、何人かがヒーローに気がついていた。
いわゆるカトちゃん二度見だ。
そして笑っている。
そりゃそうだ。
おでこに漢字で 肉 と書いているのだから。
「これからどうします?」
「飯行きましょか」
「ほなタクシー呼びましょ」
ヒーローはケータイを片手にタクシーを呼んでいる。
しかしタクシーがなかなか来ない。
イライラしだしたヒーローは道路に飛び出して
「お前ちゃう!早よ行って!」
前から来るクルマを次から次へと確認しては、
「はい、次!はい、次ー!」
と、自ら手を振って交通整理をし始めた。
しかしそのおでこには 肉 と書かれている。
ドライバーも何かの罰ゲームをしているのかと思ったかもしれない。
しかしそれは違うよ。
彼は自ら進んで交通整理をしているんだよ。
だってみんなのヒーローだから。