Blue Stardust ( I-novel SF )・・・14 | mcode

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   存在しない一日
 

 病室のサイドテーブルの上には、限りなく透明に近い青色の
ガラス玉が、冬の日溜まりの中で輝いていた。

「まり子さん、おはよう!」
ナースの和代がまり子の介護を買って出たのだった。
「今日もだめかしら、意識は戻らないのかなあ」
和代は、まり子の透きとおるような頬を見つめて言った。
「和代さん、おはよう」まり子の主治医が扉を開けるのと同時
に和代に声をかけた。
「お・は・よ・・・・・・」
「まり子さん、まり子さん・・・・・・良かった、意識がもどったの
ね。いっとき心拍停止状態だったのよ」
「あたし、いつからここに・・・・・・」まり子はかすれた小声で訪
ねた。
「数日前よ」和代は優しく微笑んで言った。
「和代さん、いま、何年」
「え、忘れちゃったの。一時的な記憶喪失かな・・・・・・」
「2007年、今日は2月29日よ」
「ああ、そうそう、お見舞いに来られた女性がいたのよ。良か
ったわね。お見舞いに来てくれる人ができて・・・・・・まり子さん
にとっては初めてね。わたしも嬉しかったわ。せっかく、お見
舞いに来たのに、まり子さんは集中治療室にいたから面会でき
なかったの。それで、お見舞いの包みを置いて帰られたのよ。
預かっているわ。お見舞いに来られた人、可愛らしい女性だっ
たわよ。まり子さんに凄くよく似ていてね、びっくりしたわよ。
髪と瞳の色が違うぐらいかな。ええと、たしか、名前は・・・・・・
あっ、そうそう、ノリコって言っていたわ」

 和代がまり子に手渡したお見舞いの包みは「セーシェルの月
の小舟」の詩集と、真紅の液体が入った小瓶であった。
まり子は主治医に精密検査された後、病室にもどりベッドに入
ると、サイドテーブルに置かれている詩集を手にとった。
まり子は詩集を丁寧に1ページずつめくり、後半のページをひ
らき、私小説SF「ブルー・スターダスト」を見つけた。
巻末にブルーのメッセージも刻まれていた。


 三度目の願い事
 

 地上に存在しない1日をプレゼント

 2007年2月29日は
 カレンダーに存在しない1日
 2月28日と3月1日のはざまの1日

 閏年は地球時間のひずみ

 この詩集もまだ存在していない
 わたしも2007年12月24日まで存在しない

 存在しない今日を存在する未来のために・・・・・・
 

 ブルー



 備考:三度まで可能な働きをもつシステムとは:

 ( 0.1s × dπ3 × 1/f ゆらぎ・Tec )
 = 0.1秒 × 次元円周率3 × 1/f ゆらぎ のテクノロジー
 (Mの幾何学数理3の位相幾何学を参照)





   アイソスピン時間
 

 まり子と存在しない1日は宇宙ボイドの中心に漂っていた。
 ブルー・スターダストは、負のエネルギーホールの重力子素
子が臨界密度を超える直前で、そのホールから脱出したのだっ
た。
宇宙開闢時の負エネルギーと正エネルギーの相転移、ビックバ
ンの脅威を回避するためであった。

 まり子の意識は、粒子的地平面の果てから、360億光年隔
てた宇宙ボイドの中心の高次元にいた。
それは新しいブルーの次元、360億光年の彼方のブルーの次
元でもあった。
まり子は、ブルーの第二世代として蘇生しようとしていたのだ
った。
ブルーの次元では、他にも外宇宙からあらゆるアイソスピン体
が集合していた。
高次元の意識体は、高次元の知性体でもあった。
生命は、1/ f ゆらぎの粒子体的な肉体を持たなければ、生命体
としては成り立たない。
しかし物理的な存在になることは、意識の自由を束縛し、自然
の摂理を受けいれることでもあった。
意識は、自身の存在感を得るためには、不自由を受け入れるこ
とでもあった。
まり子は、感情や理性をつかさどる想像的な直観の役割を担っ
ていた。それは五感を指揮するための、オーケストラの指揮者
の役割のような存在でもあった。
しかし、まり子に与えられた時間の歪み、タイムウエーブの歪
みは24時間、もうすでに数時間を経過していた。

「まり子さん朝食よ」
ナースの和代が笑みをうかべて病室にもどってきた。
「ねえ、和代さん、あたし、退院できるかしら・・・・・・」
「そうね、先生に訊いてくるわね、少しまっててね」
 まり子はこの先、自分が何をしなければならないか理解はし
ていたが、存在しない今日1日が、これから存在する未来にどの
ように影響するのかは、予想できないでいた・・・・・・。

 おばかさんね
 アイソスピン時間よ・・・・・・。

 (うっ・・・・・・)
 


 閏 年
 
 地球の自転周期はしだいに遅くなっていく傾向にある。

 地球が太陽の周りを1周するのにかかる日数は、
 365日ではなく、平均回帰年365・242199日。

 1年で約0・2422日の誤差なので、
 4年では約0・9688日の誤差がでてしまう。
 この誤差を補正するためには、
 4年に1回だけ閏年の1年を366日にしなければならない。

 それでも原子の放射振動数と地球時間の誤差はうまれる。
 




   キーワード タイムアイソスピン

 
 言葉の余韻がまり子の頭のなかで、意識の中で反響していた。 

その音の余韻は一瞬の出来事であったが、まり子の意識に希望
をあたえるかのようであった。
(存在しない今日を、存在する未来に繋ぐには、どうしたらい
いんだろう・・・・・・)
時間は不可逆反応、熱の無秩序系は修復できないわ・・・・・・時間
のひずみから抜け出すには・・・・・・)
(そうだ!わたしは意識だけ存在しているのね。意識だけは存
在している。わたし自身の意識の記憶、言葉の中にヒントがあ
るはずだわ。わたし自身がアイソスピン・・・・・・)

(アイソスピン時間・・・・・物理的に直接的に観測できない意識)

 存在する未来
 生存
 生存競争
 性欲と闘争本能は同じ脳の部位
 生殖本能
 装飾
 パフォーマンス
 突然変異
 アートの起源
 天才的インスピレーション
 想像力
 直観
 偶然
 共進化

 タイムウエーブ
 ストリング・ホールの次元
 ストリング・ループ
 真空分離
 真空相転移
 重力子素子
 電子素子
 陽電子素子
 電気力線ループ
 磁力線ループ
 ループの超光速回転運動
 光子の粒子性波動と空間の拡張
 四つの力以外に五つ目の力の斥力
 重力
 粒子時間系
 絶対零度系
 絶対真空系
 超伝導系
 絶対時間系

 エネルギー保存の法則と不可逆反応
 重力保存の法則
 エネルギー慣性連鎖体

 スピン時間系
 アイソスピン時間系
 中間の時間系

 時間の歪み
 空間の歪み

 物質宇宙
 エネルギー宇宙
 意識宇宙

 知識や情報や記憶は物理的事象
 意識は非物理的脳内事象
 
 宇宙の事象は三つに大別・・・・・・
・物質系の事象
・エネルギー系の事象
・意識系の事象

 知識や情報や記憶は物理的事象。
 想像・インスピレーションや意識は非物理的脳内事象

 意識は非物理的脳内事象・・・・・・
・五感の認知は非物理的脳内事象
・感情は非物理的脳内事象
・理性は非物理的脳内事象
・直観は非物理的脳内事象

(物理的事象と非物理的事象は相互扶助、共存して存在)
(問題は物事の本質はどこに在るか・・・・・・)

(現象学的に考えると、すべてが曖昧になりそうだが、意識の
イデア存在だけは、脳内事象としての『見られたもの、知られ
たもの、姿、形』は、時空を超越した非物体的・非物理的、絶
対的な永遠の実在。感覚的世界の個物の原型とされ、純粋な理
性的思考によって実在認識できる)
(物事の本質を見極めるためには、想像的な直観力を養うこと
も大切だが、最終的には、客観的な観測情報と哲学的な主観の
論理が、矛盾なく統一されなければならない)

 負エネルギーと負のエネルギーホール
 正エネルギー

 意識イデア
 五感対象の脳内具現化イデア
 感情イデア
 理性イデア
 想像イデア

 粒子性ストリング・ループウエーブ
 知性ループウエーブ
 記憶ループウエーブ
 情報バンクの電子素子の磁力線ストリング・ループ

 1/ f ゆらぎ
 意識の自由な可塑性
 意識の不自由な可塑性

(宇宙を大別すると、物質とエネルギーと意識になる・・・・・・)

(非物理的な意識は、アイソスピンとタイムアイソスピン。物
理的な宇宙は、スピンとタイムスピン。両者は相互扶助して、
共進化しなければ存在できない)
(中間と一番端は・・・・・・)
(重力子はスピンとアイソスピン)
(そして重力は負エネルギー(大)と正エネルギー(小)の2性質の
循環)
(光子はスピンとアイソスピン)
(そして光子は正エネルギー(大)と負エネルギー(小)の2性質の
循環)
(個の生命は物理的な空間を肉体分だけ独占すること。そして
生命のリレー。エネルギー保存の法則と不可逆反応。エネルギー
慣性連鎖反応体)
(意識は、物理的な粒子性波動や情報バンクの電磁力線ストリ
ング・ループと共存)
(宇宙を大別すると、物質とエネルギーと意識の3つになる。
物質をスピンとして考えれば、意識はアイソスピンになるわ)
(イデアは実在するのよ!)
(イデアの意識は完璧で絶対意識になるわ。むしろ、外界は曖
昧な存在になる。物理的宇宙は、数学のようなご都合主義なの
よ。であるならば、タイムアイソスピンで時間のひずみを制御
できるわ・・・・・・)
(タイムアイソスピンは意識自体であり、物理的な空間スピン
ではないわ。時空を具現化する粒子性波動は、反粒子性波動で
制御できる。反粒子性波動は絶対意識と等価よね)
(そうか、分かったわ!)

(乱雑なゆらぎのない絶対イメージを創り出すことだわ。意識
イデアがわたしの望む時空に導いてくれる。過去に時間旅行す
るのではなく、意識の記憶が過去を再構成する)
(そもそも、意識が外界を認知した時点で、進行形の外界は、
認知対象は過去の事象になってしまうわ。いつも意識は五感か
ら認知するまで、約0.1秒かかる。いつも約0.1秒の過去を
認知してる)

(イメージは言葉から生まれる。言葉はイメージから生まれる。
イメージはイデアから生まれる。イデアはイメージから生まれ
る・・・・・・)
(イメージは未来を創り、同時に過去を創る。過去を創ること
により、未来を創る・・・・・・)
(そして、現在を生きることができる)

(わたしは、0.1秒の時間のタイムアイソスピン、ストリング
ホールの中で存在しているようなものね)
(きっと、時間のひずみから脱出できるんだわ。でも、存在し
ない今日1日で何ができるの・・・・・・あたしの意識は時間のひず
みにいる・・・・・・)

(おばかさん、イメージを書き残すのよ)
(うふふ・・・・・)

「ブルー、ブルーなの・・・・・・」

(そうよ!って、言って上げたいけどさ、あんたの嫌いな堕天
使よ。ブルーがいないからさ、出てきたんじゃん・・・・・・)
(あんた、相変わらずお人好しね。ばかみたい。理屈ばかりで
さあ)
(あんたがいなきゃ、あたいも存在できないのさ。ささっと、
セーシェルの月の小舟の詩集とブルー・スターダストを適当に
書き上げてさあ、自分で手作り本を残せばいいじゃん)
(だーれも、あんたの私小説だかSFだか、うじうじとつまら
ない書き物なんてさあ、読むお人好しはいないわよ)

「なによー、 ええっ、そうですとも!」
「でもね、宇宙が存在する以上、不必要なものは存在しないの
よ!」

 2007年の2月29日は黄昏れようとしていた。

 暗黒の時間のひずみに、のみ込まれる時間が迫っていた。
ビッグバンのインフレーション膨脹により、光と灼熱の空間は、
らせん状に渦巻き、負エネルギーの反暗黒物質に相転移をはじ
めていた。