マリア・カラスに捧ぐ | mcode

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 ボヘミアンの情熱

 束の間の栄光なのよ
 あなたは こんな生き方をしないで
 平凡な幸せを 生きたら良かったのよ‥‥

 映画、永遠のマリア・カラスのエンディングの台詞です。
束の間の栄光‥‥
でも、求めずには生きられない、星の下の必然。

 スペインのアンダルシアの夜空と大地は、ラテンアメリカ、
アルゼンチンに似ています。
1976年から1983年のアルゼンチンは、軍事政権下で
した。
そして、1990年、夏のアルゼンチン‥‥
アルゼンチンの情熱的な夏の夜は、昼間の情熱を凌ぎます。
海岸通りに、ヤシの木陰がしま模様を描く夕暮れにもなると、
タンゴが、円形ホールを有する酒場に鳴り響きます。
遠い祖国、スペインの哀愁だろうか、それとも、自由を渇望
するボヘミアンの情熱だろうか‥‥
アルゼンチンタンゴは、壊れゆく楽器の、奏でる音色。
アルゼンチンタンゴは、楽器が壊れるまで、無理を強いる。
そうしなければ、演奏できない音楽。アルゼンチンタンゴな
のです。
軍事政権下の悲しい思い出も、重圧的な運命も、開放的な運
命も、タンゴ、音楽の中に封じ込められ、生き続けているか
のようです。

  
 
  歌劇

『ボヘミアンの月と星の旅人』あらすじ
 
 
無限カノンの様式、終幕まで行くと序幕に戻る。
そして、戻ることにより、スターライト・セレナーデとムーン
ライト・セレナーデが一つになる。
 

ラテン系音楽のように、悲しく、切なく、激しさを内に秘めた曲。

登場人物
ボヘミアンの月(ボヘミアンの女)はムーンライト・セレナーデ
を歌う。
     
星の旅人(吟遊詩人)はスターライト・セレナーデを歌う。
 

 序幕

 『ボヘミアンの月と星の旅人』

想い出も、セピア色の向こう側に押しやられ、
時のはざまに漂う星の旅人、吟遊詩人。
寂びれた街角に名無き路地に、漂泊の旅人、吟遊詩人。

詩の言葉と、ギターの音色が街角に流れ、
足元には猫が何匹も寄り添ってくる。
しっぽが足にまとわリ付く。

路上に置いた帽子にコインが投げ入れられ、
チャリ~ンと音がする度に、
猫がニャ~オ、シルクハットを傾ける。
いつしか、
吟遊詩人と猫は無二の親友になり、旅の伴侶となった。
胸には最愛の人の写真、ボヘミアンの月の面影を抱き。

どんなに、しわがれ声でも旋律を間違えても、
1/fゆらぎと、人生の重みがあれば、
人の心を惹き付けてしまう自由人、吟遊詩人。

満月に、星の旅人、吟遊詩人の影が映る夜、
夜空に、ひとすじの流星が光り輝く。
月光下に、ボヘミアンの月の歌声が流れる夜、
スターライト・セレナーデが星空に満ちる。

とわに、天と地に分かつしてデュエット。
夜空のデュエット。
ボヘミアンの月と星の旅人、夜空の物語は、
詩と曲は、
未来永劫、ボヘミアンの吟遊詩人に語り継げられた。
 

  
   ダークチェンジ
  

 
 第二幕
 
 『月の引力』

満月の夜、大気は酸素に満ちる。
満月の夜、肉体は生体エネルギ-に溢れる。
満月の夜、心は交感神経が目覚め脳内物質に揺れる。
満月の夜、生命は地球の重力と月の引力のはざまに漂う。

月光に光り輝く魔力と生命力は等価原理に準ずる。

もしも、地球のパートナー、月が存在しなかったら、
もしも、月が神秘的な光を放っていなかったら、
もしも、月が引力を大地に及ぼしていなかったら、

月光の中に魔性も生命も見い出すことはできないだろう。

 
 第三幕 

 『月とポワゾン』

月が陰る時、
海の闇は、ブルー色の甘いポワゾンの芳香に満たされる。

月が光り揺らめく雲に抱かれる時、
大地は、ブルー色の甘いポワゾンの芳香と共に流れ出す。
 
月が真紅に輝く時、
君の瞳は、ブルー色の甘いポワゾンの芳香のごとく輝く。

月が星の光を凌駕する時、
君の息衝きは、ブルー色の甘いポワゾンの芳香の中に溶け出す。

月がダークブルーの海に沈む時、
君は、ブルー色の甘いポワゾンの芳香が立ちのぼる深海に導かれる。

君は、甘く危険なブルー色の、甘いポワゾンの芳香。   

そう、ポワゾン!

恋に落ちたら、胸が苦しくなる恋のポワゾン。

君のポワゾンは、時空を超え、神秘的な世界に誘う最上級の媚薬。
 
 
 第四幕

 『ボヘミアンの月』

夜空の川に、星々が降り注ぐ夜、
アンドロメダと銀河系が一つになる。
星が月の光を凌駕する夜、
月は地球の重力圏から遠く離れる。

月は遠い未来の夜、ボヘミヤンの星になる。
メリメの物語 、ボヘミアンの女、カルメンのように。
アンダルシアの夜空と大地に、情熱と魔性が光り輝くように。
セルビアの星のジプシー、ボヘミアンの女、カルメンのように。

君はボヘミアンの女、カルメン。
ボヘミアンの光り輝く月。
君は情熱と魔性が光り輝く女、カルメン。
月が星の光を凌駕する夜、
宇宙の彼方で、情熱と魔性が光り輝く。

そして、君のもうひとつの星、もうひとつの顔。
決してカルメンにはなり得ない部分。
それは、君はカルメンよりも賢き女、
月の光の底に沈む、真紅の薔薇の女、
ボヘミアンの星、ボヘミアンの光り輝く月。 
 
 
 第五幕
 
 『ボヘミアンの月と流星』

瞳に星降る夜、夜空を、流れ星が埋め尽くす。

異国の海を渡りきたる、ソナタの風よ。
青き海に漂う、ボヘミアンの月よ。
真紅に燃える、狂おしき幻想よ。
淡き桜貝を抱き、いまだ目覚めぬ白き砂浜よ。
まどろみ惑う、無垢の宴よ。
空よりも青き、海の媚薬よ。
届けよ。

君の瞳に星降る夜、君の夜空を、流れ星が埋め尽くす。


 終幕
 
 『ムーンライト・セレナーデ』 
  
ジュブラルタル海峡の、
空よりも青き水面をすれすれに渡り、
キララよりも白き波しぶきの合間をくぐり抜け、
バッハのフーガの曲が、ソナタの風と共に、
窓辺のシースルーのカ-テンを揺らしていた。
 
ベッドで、白日夢のエンディング・ソングに頬を濡らす、
全裸のイブの耳もとに、海の彼方から渡りきたるフーガの曲が、
男の吐息まじりの囁きのように届き、
イブを目覚めさせようとしていた。

今まさに、白き翼を大きく広げ、
イブの石の屋根を旋回し、
イブの窓辺に舞い降り、
イブの頬に点在する涙の球面に、
羽ばたく翼が映し出されようとしていた。
セピヤ色の時の彼方に、忘れ去られたイブの記憶が、
目覚めようとしていた。

イブの青い空に、ソナタの曲がフーガに導かれ、
星の旅人のフーガ様式と、イブのカノン様式が融合され、
潮騒のように、カノンは繰り返された。
無限のカノンの歌声、ソプラノの歌声、イブの歌声は、
青い空の彼方に、星々の彼方に昇華され、
360億光年の彼方まで響き渡った。
ムーンライト・セレナーデとして。

 
 
    『翼の記憶』

 心は気紛れ

 暗い雲を青い空だと言い張る。


 翼は上昇気流の感覚を想像しない

 翼には心がないから

 本当の空の青さを知っているから。


 誰も翼の痛みは知らない

 青空さえも

 広げた翼など忘れて

 知らないと言い張る。


 もしも翼に心があるならば

 明日からは

 もう

 想像の青い空には羽ばたきはしない。


 大空に両翼を広げ 羽ばたくことを忘れた翼

 傷付き 臆病に慣れてしまった翼

 星空に抱かれ 眠る翼。



    『星の音』

 ビオロンの
 
 星の調べに

 夏の夢


 晴れ渡った夜空の 満天の星々を望む時 

 かすかに聴こえるビオロンの調べは 

 いつしか 星のまたたきと区別がつかなくなる。


 君は そんな夏の夢を見ているのだろうか・・・・